5歳の女の子のママからの相談
先日幼稚園が終わった後に公園で娘がお友だちと遊んでいたのですが、そこへやってきた別のお友だちに「〇〇ちゃんは来ないで!水泳あるから!遅れちゃうよ!」ときつめの口調で言ったんです。私は慌てて「どうしてそんな言い方するの?」と間に入ったのですが、結局そのお友だちは一緒に遊ぶことなく帰ってしまいました。相手のことを心配するようなことを言いながら仲間外れにするような言い方がオンナという感じがして、この先娘がお友だちをいじめるような子になってしまわないかと心配になりました。このような状況を目にしたとき、保育士さんだったら、どのような言葉かけをしますか?
ご相談ありがとうございます。
成長とともに、他者との関わりを持ちはじめる子どもたち。
誰かと一緒に遊ぶようになった。
友だちができた。
…親にとって嬉しい成長のひとつですよね。
しかしその反面、「人間関係を上手に築いていけるのか」という点は、心配事のひとつでもあるかもしれません。特に年齢を重ねるごとに心配される方が多くなるのは、「友だちに意地悪をした・された」ということ。
今回はそんな子どもたちの間で起こる“意地悪”について考えていきたいと思います。
「意地悪」を意識“している”時期と“してない”時期がある
子どもたちは、生まれて成長していく過程で、まず「自分」という存在に、その後「他者」という存在に気がつき、興味を持ち、関わり始めます。
子どもたちの生活の中心である“遊び”でも、ひとり遊びから、平行遊び、そして連合遊びへと、自分ひとりの世界から、ぐっと世界が広がりはじめる。
そのなかで、特に2歳から3歳にかけて、積極的に他者との関わりを求めるようになっていきます。大人たちも「子どもたちが仲良く過ごせるか」ということに注意を払うようになることが多くなる時期かもしれませんね。
しかし、最初から他者と上手に関われる子なんて、まずいません。
その頃の子どもたちは、どのように関われば仲良く遊ぶことが出来るのか、相手がどんな気持ちになるのかについて、圧倒的に“経験”が不足しているんですよね。
そのため、「一緒に遊びたい!」「◯◯ちゃんは何しているんだろう?」と思って近づいていっても、自分本位に相手を動かそうとしてしまい、その結果、それが乱暴な行動になり相手をビックリさせてしまうなんてことも、しばしば。
つまり、その時期に起こる、相手をドンッと押す、「◯◯くんはイヤ!」と言うというような態度や言動には、相手に対して意地悪をしよう(意地悪をした)という意識がないことの方が多いのです。
しかし4歳前後くらいから、だんだんと意図的な他者への威圧的な態度や、相手を傷つけるような言動などが増えていくことがあります。
こんな言葉を言ったら悲しいと思う、こんなことされたらイヤだと思う。
それを分かっていて、意識的に行動にうつす。
つまり、「意地悪をする」という行動がでてくるのです。
その行動の背景には、「自分を認めてほしい、知ってほしい」というような“自己顕示欲”や、“妬み”、“怒り”などの心理があると言われます。
今回の相談者さんのケースの場合について、その言動の裏にどんな想いが隠されているのかに目を向けてみましょう。
「水泳あるから!遅れちゃうよ!」に、隠された思い
シチュエーションはこうでした。
———–
幼稚園が終わった後に公園で娘さんがお友だち(Aちゃん)と遊んでいたところに、別の友だち(Bちゃん)がやってきた。
そして娘さんがBちゃんに対し、「Bちゃんは来ないで!水泳あるから!遅れちゃうよ!」ときつめの口調で言った。
————
その「Bちゃんは来ないで!」の言葉に隠された思いはなんなのか。
今回の場合、もう娘さんが答えを提示してくれていますよね、
「水泳があるから、遅れちゃうよ!」と。
使った言葉はきつかったけど、この言葉は優しさからでたもの。(わたし自身がこの場にいたわけではないですし、娘さんとBちゃんの関係性は分からないので、実際のところは、娘さんに聞いてみないと分からないですけどね)
なので、わたしだったら「ちょっと言い方きついんじゃない?」と声をかけたり、「水泳に遅れちゃうから、急いだ方がいいよ、ってこと?」と、表現を言い換えてあげるかなぁと思います。
大切なのは、「その子自体を否定しない」こと
子どもの意地悪な行動や言動に対応するとき、わたしが大切にしていることがあります。
それは、「その子自身は否定しない」こと。
つい、「なんで◯◯ちゃんはそんなに意地悪なの!」「◯くんは、本当に性格が悪いね。」とその子自身を否定してしまうような言葉を言いがちになりますが、いけなかったのは、その時のその行為です。
また、その行為に隠された思いを受け止めてあげること、その思いを伝えたり満たしたりすることのできる別のアプローチの方法を提示してあげることも、状況に合わせてできるといいなと思います。(なかなか難しいですけどね)
経験をしていく中で初めて出会う感情や、気付きってたくさんあります。
私たち大人も、子どもを介して、そんな新しい気付きや学びをしているのかなぁと、彼らと向き合う時によく思うのです。
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