6歳の女の子のママからの相談
我が家には6歳の姉と3歳の妹がいるのですが、姉の方が平気で嘘をつくことで悩んでいます。先日は私が見ていない時に妹の方の泣き声が聞こえてきたので駆けつけると姉が妹の分のおやつまで食べてしまっていたようでした。それなのに姉は「食べてない!」と言い張り、認めようとしないのです。他にもジュースをこぼした時に、明らかにこぼしたのは自分なのに妹のせいにしたりします。怒られるのが嫌で嘘をついているのだろうとは思いますが、毎日こんな調子なので、ウソをつくのが癖になってしまっているようで心配です。正直に本当のことを話せる素直な子に育てるにはどうしたらよいのでしょうか?
ご相談ありがとうございます。
「子どもには素直な子に育ってほしい。」
相談者さんのように、そう願いながら子育てをしている方は多いのではないでしょうか。
そして、そう願うからこそ、お子さんの年齢があがるにつれてみなさんを悩ませることが増えてくるのが子どものつく「嘘」だと思います。
そもそも子どもはなぜ嘘をつくのでしょうか?
子どものつく噓について、一緒に考えてみましょう。
子ども特有の「嘘」
「嘘をつくのはよくない」と言いながらも、大小はあるにしろ、回数に違いはあるにしろ、きっとこの文章を読んでくれているあなたも(もちろんわたしも)、今まで嘘をついたことがあるのではないかと思います。
今回、わたしは「嘘」について考えたとき、大人って嘘をつくのが上手いよなぁと、思いました。
周りの人が「それ嘘なんじゃない?」と分かってしまうような噓をつくことは、大人になるにつれて減っているような気がするのです。
そしてそれに比べて、子どもたちは嘘をつくのがあまり上手ではない(笑)。
彼らはある意味とても“素直”だから、「あ、今嘘をついている」と周りが分かるような噓になってしまうことが多いんですよね。
また、その分かりやすさのひとつには、子どものつく特有の嘘が関係していることもあると思います。
みなさんもお子さんと関わるなかで感じたことがあるかもしれませんが、子どもたちは、「自覚のない嘘」をつくことがあります。
なぜそんなことが起こるかというと、 子どもたちのなかでは度々、真実の境界線が曖昧になることがあって、話に聞いたことをあたかも自分が体験したことのように語ることがあったり、こうありたいと思うことを、僕はそれができる!と語ってしまうことがあるのです。
そしてその無自覚な嘘は、時に子どもたちを守ることもあるし、勇気づけてくれることもある。
わたしはこの時期にしかない、この嘘をとても愛おしいものだなぁと感じています。
その嘘の裏には、なにが隠されている?
噓は、子ども特有の嘘とそうではない噓だけでなく、とても多くの複雑な種類に分けられるものだとわたしは考えています。
その本質に気付くには、表面に言葉としてでてきた部分だけではなく、その裏に隠された「気持ち」に目を向けてみることが、とっても大切。
例えば、噓にはきっと(そしてもっと)こんな思いが隠れているのではないかと思うのです。
・気を惹きたい
・もっと自分をよく見せたい
・悪いことを隠したい
・恐怖心や不信感がある
・心配させたくない
嘘は、これらの気持ちを抱く(意識する)ような相手がいるからこそ、生まれます。
(ちょっと話はそれますが、そう考えると噓をつくようになることは、とても大きな成長のひとつだと思いません?)
噓をついた相手が、なぜその噓を自分に対してついたのか。
そこに意識を向けることで、子ども側ではなく大人側の対応に変化が生まれてきます。
その噓に気がついた時の言葉掛けも変わるでしょうし、子どもに「噓をつくのはいけないこと!」と言う前に、自分自身の行動を見直したり、変えてみることが、子どもが嘘をつくことが減るきっかけになるかもしれないということに気がつくのではないでしょうか。
誠実に、事実を話そう
では実際に子どもが噓をついていると思ったとき、またはその事実が分かったとき、具体的にはどのように対応すればいいのか。
「この方法が正しい!」という正解のようなものはないと思いますが、その噓によって起こったことや、その嘘がないと起こりうることを誠実に伝えること、そして子ども自身を否定しないことは大事にできるといいなと思います。
例えば、今回の相談者さんの場合。
妹の方の泣き声が聞こえてきたので駆けつけると姉が妹の分のおやつまで食べてしまっていたようでした。それなのに姉は「食べてない!」と言い張り、認めようとしないのです。
まずは泣いている妹さんが落ち着いたら、それぞれに何が起きたのか聞くといいと思います。
聞いてもなお、お姉ちゃんが嘘をついているのではないかと思うようだったら、
・「妹ちゃんだって、おやつ食べたいから食べられないと哀しいよね。」
・「お母さんは、夜ご飯のことも考えてそれぞれにこれくらいの量がいいかなと思って用意してるよ。」
・「まだ食べたいときは、もう少しほしいと言ってくれたら、あげるよ。お姉ちゃん、妹ちゃんは今ももう少しほしい?」
などと、声をかけてみたらどうでしょうか。
そのとき気を付けたいのは、「なんで噓ついたの!」とその噓をとがめたり、「噓つくなんて本当にいけない子だね」とその子自身の人格を否定するようなことはしないこと。そうすることによって、より真実を話すことに恐怖心を抱いたり、自分を出すことができなくなってしまうこともあると思います。
子どもだけでなく自分自身とも向き合うことになる、子どもの嘘。
この記事が少しでも皆さんのヒントになれば嬉しいです。
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