今回のご相談
こんにちは。最近、子どもが幼稚園に行こうとすると「行きたくない!」っていうことが増えてきました。いつも通り、朝ごはんを食べ、お着替えまではするんですが、玄関に向かうと、急に「行きたくない!」っていうんです。こういう時は、どのように対応すればいいのでしょうか?
ご相談ありがとうございます。
今回の相談者さんのようにお子さんが「幼稚園に行きたくない」と言って困ったり、「なんでうちの子だけ嫌がるのだろう」と悩んだりした経験のある方は多いのではないでしょうか?
わたしが、保育園で働く中で感じた事や、親御さんが実際に取り組んでいて素敵だなと思ったお子さんとの関わり方を含め、保育士である私の目線から見えた子どもが園に行きたがらない時の対応法をお伝えします。
幼稚園・保育園に行きたくない理由ってなんだろう?
“嫌がらずに行って欲しい”、“どうやったら行かせられるか”ということばかりに気持ちがいきがちになりますが、まずは「なぜ子どもが行きたくないのか」ということに目を向けてみましょう。
以前、関わってきた子ども達の様子や、知り合いのママパパに聞いた話から、大きく分けて3つ行きたくない理由がある事が分かりました。
①大好きなママやパパと離れたくない
これがダントツで多い理由でした。
大好きなママやパパとずっと一緒にいたいという純粋な気持ちを「園に行きたくない」という形で表現している子が多いようです。中には、離れている間にママやパパに何かあったらどうしようと心配するあまり、こういう気持ちになる子もいます。
②環境の変化が不安
年少組だけでなく、夏休みなどの長いお休みの後、朝泣きながら登園している子どもが多いのはこの理由です。大人も初めて行く場所やコミュニティーの中ではどきどきしたり、不安な気持ちになったりしますよね。子ども達も同じなのです。
特に、家族というコミュニティーの中で過ごしていた子どもが初めて大きな集団(=園)に入る時は、“場所も、人も、全ての事が初めて”という状態になります。そこに飛び込むのには、大きな勇気が必要なのだろうと容易に想像出来ますよね。
また、弟や妹が生まれたり、ママが仕事を始めたなどの家庭環境の変化も、園に行きたくないスイッチが入るきっかけになることがあります。
③園生活に不満がある
①、②以外に行きたくないという理由があるとしたら、園生活自体に何か不満があると考えられます。
・お友だちとトラブルがあった
・◯◯君にいつも鬼ごっこで負けちゃう
などの、他者との関わり合いの中で生まれる気持ちの変化や、
・運動会の練習が嫌
・給食が食べられない
といった園の活動の内容が理由になることがあります。
また、お家ではいつも自分だけに注目が集まるのに園ではそうはいかなかったり、大好きな先生を独り占め出来ない、なんていうことも理由になるようです。
ママパパに伝えたいこと
このように「園に行きたくない」という1つの行動に対しても、子ども達はひとりひとり異なる理由を持っていたり、日によって理由が変わったりすることがあります。 無理に理由を聞き出す必要はないですが、理由に目を向けることによって、 「そっか。そんな理由で行きたくないと思っているのね。」 と子どもの気持ちに寄り添うことから始める事が出来ます。そのプロセスを必ず通る事をぜひ大事にしてみて下さい。
でも、その前に。まずママパパに忘れないで欲しいのは、ママやパパが思い詰める必要はないということ。子どもの気持ちの問題なので、園に最初から問題なく行く子もいれば、嫌がる子もいますし、嫌がる子ども達の中でも、喜んで園に行くようになるまでの期間に個人差が出てきます。2〜3日でころっと何もなかったかのように行きだす子もいれば、2ヵ月、3ヵ月とゆっくり時間をかけて気持ちを整えていく子もいます。私が保育園で働いていた時も、色々なタイプの園に行きたがらない子がいましたが、一つ断言出来るのは「喜んで行く日」が必ず来るということ。
こんなに自己表現出来るようになったのか!とまずは成長を喜び、それから自分たちにあった対応法を選んで、生活の中に取り入れてみて下さいね。
7つのオススメ対応法
①気持ちに寄り添う
まずは気持ちに寄り添ってあげましょう。
「あぁ、ママは私の気持ち分かってくれるのだ。」と思えるだけで子ども達は“いや”ばかりにむいていた気持ちを、前に向けることが出来ます。その上で気持ちを緩和してあげられる関わり方をしてあげられるといいですよね。
②時間に余裕を、気持ちに余裕を
時間に余裕がないと気持ちにも余裕がなくなってきます。
子どもの気持ちに余裕を持たせるということもありますが、何よりママパパの気持ちに余裕(余白)があるということが大切です。時間に余裕を作ることが、気持ちよく1日を過ごせるきっかけになるのではないでしょうか。
③お楽しみを決める
これは実際に取り組んでいるママパパがいて、とても効果があるなと感じたものです。
やっていたことは、登園時歩きながらお子さんと一緒に「園が終わってからのお楽しみ」を考えるというもの。「終わったら今日は公園に行こう」とか、「夜ご飯はいっしょに作ろう」とかそういう小さな楽しみが1日をわくわくするものに変えていきます。
④心が落ち着く物と一緒に登園する
お気に入りのタオルなど、「心が落ち着くもの」があればそれを園に持っていくのもおすすめです。
大人でもこれがないと落ち着かないという物がある方、多いのではないでしょうか?お気に入りのぬいぐるみやいつも読んでいる絵本などもいいかと思いますが、園によっては持っていくのを禁止している所もあるかもしれないので、先生に相談してみて下さいね。
⑤笑顔で送り出す
ママパパの姿、表情や言葉は、子どもの安全確認で大きな役目を果たします。
子どもが1番大好きなママパパの笑顔で送り出してあげましょう!私自身、ママパパ達が笑顔で送り出してくれることによって、子ども達が母子分離後の気持ちの切り替えが早く出来ると体感してきました。
また送り出す際、「頑張ってね」の変わりに「楽しんでね」、「素敵な1日を過ごしてね」という言葉をかけてあげられるといいですよね。
⑥先生とチームを組む
子育てはひとりでしなくてはいけないものではありません。保育士の私だからこそおすすめしたいのが、「園の先生と情報を共有し協力体制を築く」ということ。
家での様子、園での様子をそれぞれ共有しあったり、園に行きたがらない子の一番の難関である母子分離の時間をどのように行うかを一緒に考え取り組む事が出来るといいと思います。
ママパパと先生がそれぞれ違うやり方でアプローチをするより、チームを組んで同じ方向を向きながらアプローチをした方が断然効き目があると思います。こんなこと聞いてもいいのかな?と思う前に、ぜひ担任の先生に相談してみてください。
⑦毎晩、1日を振り返ろう
夜寝る時にぜひ作ってほしいのが「1日を振り返る時間」。
今日どんなことをしたのか、どんな気持ちを持った1日だったのかを聞くのと同時に、「明日もその続きをやるのが楽しみだね!」「夜お家であったこの話、お友だちにしたらびっくりするかな?」と、明日へ目を向けるきっかけにもなります。
“明日来るのが楽しみ”という気持ちと共に1日を終えられると幸せですよね。
子どものことを分かってあげられるのはアナタです
いかがですか?オススメの7つの対応法をお伝えしました。
時間に余裕がとれないから焦っちゃうんですよ、という声も聞こえてきそうですが、誰よりも子どものことを分かっているのは、ママやパパであるあなた自身です。そして、子どもたちからみたら、自分の気持ちをくみとって欲しいのもママパパなんですよね。
私がここであげているものだけではなく、子どもと関わる中でぜひ自分たちならではの対応法も見つけていってみてくださいね。喜んで園に行ける子がひとりでも増えることを願っています!
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