■主要人物ぷろふぃーる■
・ほっぺこちゃん:わやわやハウスに通う、5歳の女の子。カバンの中にいれているもの、ティッシュ、人形、人形用のミルクの素、アメの包み紙、ペン数本、メモ帳、薬(折り紙をちぎったもの)
・パパ:ほっぺこちゃんのことが大好きな、ほっぺこちゃんのパパ。ときどき透明になって、わやわやハウスにこっそり通う。
・にょろにょろさん:わやわやハウスの保育者。いまのところ、いろいろ謎。。趣味カメムシ集め。
・子どもたち:わやわやハウスで、毎日わやわや遊んでいる。
■■■■■■
「いってきます」ほっぺこちゃんがいいました。
「どこ行くの?」パパが聞きました。
「ちょっと、そこまで」ほっぺこちゃんがいいました。
「ちょっと、そこまでって、どこ」パパが聞きました。
「ちょっと、そこのムニャムニャムニャまで」ほっぺこちゃんがいいました。
「車、危なくないかねぇ」パパが聞きました。
「くるま、あぶなくないですよ」ほっぺこちゃんがいいました。
「トラック、危なくないかねぇ」パパが聞きました。
「トラック、あぶなくないですよ」ほっぺこちゃんがいいました。
「バイク、危なくないかねぇ」パパが聞きました。
「バイク、あぶなくないですよ」ほっぺこちゃんがいいました。
「自転車、危なくないかねぇ」パパが聞きました。
「じてんしゃ、あぶなくないですよ」ほっぺこちゃんがいいました。
「三輪車、危なくないかねぇ」パパが聞きました。
「さんりんしゃ、あぶなくないですよ」ほっぺこちゃんがいいました。
「でもでもでも」パパがいいました。「車は、急に止まれない」
「いやいやいや」ほっぺこちゃんがいいました。
「こどもは、きゅうにとまれない」
ほっぺこちゃんは、ものすごいいきおいで家をとびだしました。
横断歩道がありました。車が横からとびだします。
ほっぺこちゃんはかけていって、いいました。
「すとっぷ、すとっぷ、このかんばんが、めにはいらぬか」
「すとっぷ、すとっぷ、このかんばんは、むにゃむにゃむにゃら」車が止まっていいました。
「すとっぷ!こどもはきゅうにとまれない」ほっぺこちゃんはそういって、車の前を走りすぎました。
国道246号線がありました。トラックがびゅんびゅん通っています。
ほっぺこちゃんがかけていって、いいました。
「すとっぷ、すとっぷ、このかんばんが、めにはいらぬか」
「すとっぷ、すとっぷ、このかんばんは、むにゃむにゃむにゃら」トラックたちが止まっていいました。
「すとっぷ!こどもはきゅうにとまれない」ほっぺこちゃんはそういって、国道246号線を走りすぎました。
横丁の細道がありました。バイクと自転車が競争しながら走ってきます。
ほっぺこちゃんもかけていって、いいました。
「すとっぷ、すとっぷ、このかんばんが、めにはいらぬか」
「すとっぷ、すとっぷ、このかんばんは、むにゃむにゃむにゃら」バイクと自転車が止まっていいました。
「すとっぷ!こどもはきゅうにとまれない」ほっぺこちゃんはそういって、横丁の細道を走りすぎました。
細道の角から三輪車がキコキコやってきました。
「すとっぷ、すとっぷ、このかんばんが、めにはいらぬか」
「すとっぷ、すとっぷ、このかんばんは、なになになによ」三輪車が止まっていいました。
「すとっぷ!こどもはきゅうにとまれない」ほっぺこちゃんはいいました。
「さんりんしゃだって、きゅうにとまらないもんね。ぶー」三輪車がいいました。
「あ、そっか」ほっぺこちゃんがうなずきました。
そこで、パパは目がさめました。もう8時を過ぎています。
「いってきます」ほっぺこちゃんがいいました。
「どこ行くの」パパが聞きました。
「ちょっと、そこまで」ほっぺこちゃんがいいました。
「ちょっと、そこまでって、どこ」パパが聞きました。
「わやわやハウスだよ」ほっぺこちゃんがいいました。
「車、危なくないかねぇ」パパが聞きました。
「くるま、あぶなくないですよ」ほっぺこちゃんがいいました。
「自転車にも気をつけて」パパがいいました。
「自転車に乗ってくんだよ、ぶー」ママがいいました。
「でも飛び出しちゃいけないよ。車は急に止まれ…いや、ちがうかな、あれ、うーん」パパがむにゃむにゃいっているうちに、「いってきまーす」とほっぺこちゃんとママはでかけていきました。
パパは急いで透明になる薬をのんで、先回りして、横丁の細道にいきました。細道の角にぼろぼろになった看板が倒れていました。看板にはこう書いてありました。「ストップ!くるまはきゅうにとまれない!」
パパは、看板を立てました。それから家に帰って、紙とペンをもってきて、「すとっぷ!こどもはきゅうにとまれない!」と書いて、看板に貼りました。
そのころ、もうほっぺこちゃんとママはわやわやハウスについていました。
今週の言葉
「こどもはきゅうにとまれない」 ほっぺこパパ
車は急に止まれない。おとなの都合、利便性中心に街をつくってきた結果、子どもが走り回る空間を奪い、おとなではなくて子どもの方に注意を促す。これ、おかしくないですか。発想を逆にしてみましょう。
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青山誠

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