3歳3ヶ月の女の子のママからの相談
娘がいつもよく遊ぶお友達と公園で遊んでいる時のことですが、すべり台の階段を先に登ろうとしてお友達を押してしまい、その子がドンと尻もちをついて泣いてしまいました。そこで慌てて娘に「〇〇ちゃん泣いちゃったよ?押したらダメだよね。ごめんねしよっか。」と言ったのですが、「ううん!」と嫌がり、逃げようとするので、捕まえて「ごめんなさいは!?」と言っていたところ、娘まで泣いてしまいました。悪いことをしたら謝るということを教えたかったのですが、どうしたら「ごめんね」と言えるようになるでしょうか?
ご相談ありがとうございます。
他者との関わりを持ち始めると、それに伴い、ぶつかり合うことも増えてくる。そんな中で、相手に対して「ごめんね」を言えるかどうかは親御さんが気になることの1つかもしれませんね。
今回はそんな「ごめんね」について、一緒に考えてみたいと思います。
「ごめんね」と言えれば、それでいい?
「ごめんね。」
「いいよ。」
子どもたちの間で行なわれるこのやり取り。
でも、実はそのやり取りの前に、「ごめんなさいは?」という大人の一声が入ることがよくあります。
誰かを傷つけてしまった時、悲しい思いをさせてしまった時、「ごめんね」と謝れる子になってほしい。そんな気持ちがあってこその声掛けだと思いますが、そもそも「ごめんね」と“言えること”が大切なことなのでしょうか?
わたしは個人的には、そうは思いません。
今までたくさんの子どもたちと関わる中で、
『あ、「ごめん」って思っていないのに、謝っていそう。』
『「いいよ」って思っていないんじゃないかなぁ。まだ心にしこりが残ってるかも。』
と思う子どもたちの姿を、何度も目にしてきました。
ごめんねは“言える”けど、心はごめんねとは“思っていない”。
それではその直前に起きていた出来事の中で子どもたちの間で生まれた気持ちや葛藤、そして関わりも、どこかに埋もれてしまうのではないかなぁと思うのです。
できないには、きっと「理由」がある
今回の相談者さんのお子さんのように、ごめんねを“言わない”という場合もありますよね。
そこには、こんな理由があるかもしれません。
・納得出来ない気持ちがある
「叩いてしまったのは悪かったけど、そっちが先に嫌なことしてきたんだ!」、「わたしは自分の気持ちを伝えただけ。」そんな気持ちがあるのに、ごめんねと謝るのは難しいですよね。
・相手の気持ちが届いていない
自分の行為が相手を傷つけてしまったり、嫌な気持ちにさせてしまったということが分かっていなければ、当然、謝ることの意味も理解できません。
そして、これらのことは途中で大人が介入することで、子どもが気持ちを処理しきれず起きてしまうことも多々あります。
怪我など危険なことが起こりそうな場合は介入する必要もあると思いますが、まずはなるべく子どもたちの様子を見守ることも大切なのかもしれませんね。
また、介入するのであれば、一方の話を聞くだけでなく、お互いが気持ちを話すこと、状況が理解できることを意識してあげたいなぁと思うのです。
カナダの子どもが、「ごめんね」の代わりにしていたこと
わたしはカナダでも保育士をしていたのですが、その時こんな子どもたちのやり取りを目にしました。
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鬼ごっこをしていた、4歳児のAくんとBくん。鬼役だったBくんが、Aくんを捕まえる際、Aくんが転倒してしまい、Aくんが泣きだしてしまいます。
そんなAくんを見て、Bくんが声をかけました。
B:「大丈夫?」
A:「なんで僕の事押し倒すんだよ!」
B:「捕まえようとしたら、ぶつかっちゃって。わざとじゃなかったんだよ。」
それでも気持ちが収まらない様子のAくん。
そんなAくんを見て、Bくんが更に言います。
B: 「何か僕にできることある?」
A: (小さな声で)「….. ハグ。」
B:「なんて言ったの?」
A: 「ハグしてって言ったのー!!」
お互いに数秒ぎゅっとハグ。
そしてすぐ遊びを再開しました。
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わたしは、この二人の姿を見て、子どもたちは「ごめんね」「いいよ」のやり取りでなくても、自分たちで気持ちをすっきりさせる仕方や、解決する方法を知っているんだなぁと強く感じました。
きっと、あの場で大人が「ごめんねしなさい」と言っていたら、彼らはその後、一緒に遊ぶことを続けていなかったかもしれないなぁとも思います。
「ごめんね」という言葉が大切なのか。
もしかしたら、もっと違う大切なことがあるのかも…
子どもたちが気付かせてくれることは、いつも奥が深いですね。
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