【保育士が教える】「貸して」と言われたら「いいよ」って言わないとダメなの?

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3歳の娘を持つママからの相談

先日、公共の遊び場で、娘と同じくらいの年のよその子が遊んでいたオモチャを娘が取ってしまったので「勝手に取ったらダメだよ。貸してって言ってみようね。」などと言ったのですが、少し後に今度は娘が他のよその子にオモチャを取られてしまい、不満そうな顔をしていました。子ども同士で取ったり取られたりはよくあることだと思いますが、親としてどのように介入したらよいのか、そもそも介入してよいのか、いつも悩んでしまいます。

 
ご相談ありがとうございます。

他者との関わりが始まったからこそ、そして自分の意思を持ち始めたからこそ起こる「おもちゃの貸し借り」の問題。

子どもの嬉しい成長のひとつではあるけど、悩む親御さんは多いようです。
どのように向き合っていけばいいのか、一緒に考えていきましょう。

「貸して」と言われたからって「いいよ」と貸すなんて、わたしにはできない

 
「貸して。」「いいよ。」
 
大人が思い浮かべるおもちゃの貸し借りの方法と言えば、これでしょうか。

しかし、わたしは子どもたちの間で起こるこの言葉のやり取りを聞いた時に、正直いつも「貸してって言われたからって、貸してあげられるなんてすごい。わたしなら絶対貸してあげられない!」と思うのです(笑)。

なぜわたしがそう思うのか。

これは、自分(おとな)に置き換えるとよく分かっていただけると思います。

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例えば、あなたが新しく本を買って読み始めたとします。

そこにあなたの友人、もしくは全く知らない人がきて、「その本集中して読んでいるね。おもしろそうだから貸して!」と言ってきたら、あなたならどうしますか?

きっと大体の方が、「今読んでいるところだから、読み終わったら貸すね。」と対応するのではないでしょうか。知らない人に対しては「すみません、貸せません。」と言ったり、もしかしたらその問いかけ自体に応えない、と言う人もいるかもしれませんね。

もちろん、自分が読んでいない時、もう興味がなくなった時に貸す事はできると思うのですが、その場で自分が読み途中の本をすぐ貸してあげるという人は、まずいないと思うのです。

また、こんな場面も想像してみてください。

あなたが肌身離さず持っている位大切なものがあるとして、それを誰かが「貸して」と言ってきたら、あなたは「いいよ」と貸してあげられるでしょうか。

このような場面で、相手の気持ちを考えて貸すという選択肢を取るなんてこと、まず大人でもすることが難しいと思うのです。(少なくても、わたしにはできないです。笑)

その対象が“本”から“おもちゃ”に変わっただけで、子どもたちの間で起こっているのは、要はそういうことです。

そう考えると、私たちがおもちゃを貸してあげられない子どもに対し、

「貸してってお友だちが言ってるよ、貸してあげないと。」
「あなたはいつでもこれで遊べるでしょう。」

と言っているのは、実はとてもすごいことを要求していたんだなぁということに、気がつくと思うのです。

 

絶好の学びと成長の機会!

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また、わたしは子どもたちにとって、おもちゃを介して起こる問題は、他者との意見や思いのぶつかり合いの“はじめの一歩”だと思っています。

「いいな、貸して欲しい。」

「やだ、貸したくない。」

「これは私のもの。」

「まだ使っているよ。」

「じゃあ使い終わったら貸して。」

上記のようなやり取りを子どもたちは言葉で、時に行動で相手に伝え合う。

両極端にある互いの気持ちがより添い合えるポイントを見いだすのは結構大変なことでもありますが、子どもたちはその経験を繰り返していくなかで、自分の気持ちと相手の気持ちを理解していくようになっていきます。

そしてその中で、社会性や問題解決能力、自分の思いを伝える力を育んでいく。

つまりおもちゃの取り合いは、子どもたちにとって絶好の学びと成長の機会なのです。

 

子どもの育ちのためにオススメしたい3つのポイント

そこで提案したいのが、3つのポイントです。

まずは見守ろう

上記でお話させていただいたように、子どもたちは経験する中で学んでいきます。
子どもたち同士の間で起こるコミュニケーションを大事に、そっと見守ってあげたいものです。
 

相手の親御さんとコミュニケーションを取ろう

とは言っても、周囲の目や相手の親御さんの反応も気になりますよね。
以前、あるお母さんたちの間で、こんなやり取りをしているのを耳にしたことがあります。

A:「おもちゃの取り合いって、ひやひやするよね。」

B:「うん、子どもたちは悪くないのは分かってても、貸してあげられないこととかが続くと、わぁごめんなさいって思って、我が子に我慢させちゃうことがある。」

A:「じゃあ私たちの中では、それは今の子どもたちの段階では当たり前のことだって分かっているんだから、謝り合うのはやめよう!」

なんてステキなコミュニケーションだろうと思いました。

気の知れた親御さん同士でないと、なかなか難しいことではあるかもしれませんが、このように子どもが育ち合える環境と、親御さんが安心できる環境が作れることは、とても大切なことだなぁと感じています。
 

受け止めて、提案してみよう

子どもたち同士で解決ができないことももちろんあります。そんな時に、もしお子さんがパパママに対して何か伝えてきたら、その気持ちはぜひ受け止めてあげてくださいね。

「そっか、まだあそびたいんだね。」

「そのおもちゃ、使えなくて悲しかったんだね。」

パパママが共感してくれるだけで、気持ちが切り替わるきっかけになることもあります。

また、気持ちがなかなか切り替えられない時は、「あそこに、◯◯があるね。行ってみる?」など、他のものを提案してあげてもいいかもしれません。

子ども同士のやり取りを見守ることって、忍耐がいることでもあると思います。いつもこういう風に関わってあげられたらいいけど、難しい場合もあるかもしれません。

まずはパパママの気持ちに余裕がある時だけでも、ぜひお子さんの育ちをそっとサポートしてあげてみてくださいね。

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三輪ひかり
Borderless Educator-国境なき共育者- 日本とカナダで保育士を経験。 現在園に属さず、子ども・幸せ・本質というキーワードを軸に、ワークショップや研修、ライターなど様々なアプローチで個や社会に向け活動中。 ・ Kodomo.bin共同代表 ・ fbページ 「 世界のほいく便り」 にて情報を発信 ・ホイクホンシツ会議共同主宰

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