日本には四季折々の行事があり、それぞれの行事は、食べることを抜きにしては考えられてはいないでしょう。
それほど日本人にとって、食べることと季節の移ろいを感じて祝うことは、同意語なのではないかと思います。
もうすぐ3月。3月といえば桃の節句、ひなまつりがあります。この日は皆さんもご存知のように、女の子の健やかな成長を祈願し、祝う日とされていて、春の訪れをすぐそこに感じながら、女の子のいるお家では雛人形を飾ったり、ちらしずしを食べて祝います。
今回はひなまつりを良い機会にして、食の原点に立ち返ることについて考えてみたいと思います。
食のバリエーションが豊富な国、日本
ひなまつりの歴史は古く、紙や土で作った人形を「形代」に、病気をこの人形にうつして川に流す「流し雛」の風習と、中国の宮中行事などが融合したのが始まりといわれています。
ちらしずしを食べるのは、平安時代にえびと菜の花を使った「なれ寿司」で祝っていたのが由来とされています。今ではいろんなバリエーションや彩りで、見た目も華やかになりました。(出展:「子どもと楽しむにっぽんの歳時記 食と手作り12か月」主婦と生活社)
昨今ではレシピ本やインターネットの普及によって食に関する情報量が増え、料理が上手なお母さんも増え、食の多様化がますます進んでいます。でも、いろいろ調べて知識が増える一方で、「本当は何を食べたらいいの?」という疑問が、新たに生まれてきているようにも思います。
例えば、京都で生まれ育った私は、ちらしずしと言えば、野菜の具材が酢飯に混ぜ込んであり、その上に錦糸卵や絹さやえんどうなどをちりばめたものを思いうかべます。
しかし東京にきてお寿司屋さんでちらしずしを注文すると、普通の酢飯の上に、お刺身の切り身がいろいろ並んでいる。これは、かなりのカルチャーショックでした。しかも、江戸前寿司の酢飯は砂糖を使わないので甘くない。一口でちらしずし、といっても、これでは全く別物です。
全く別物、といえば、ひなあられも同じ。ひなあられとは、白、ピンク、緑のおかきで、関西ではかたくてしょうゆ味のあられのことですが、関東では甘いスナック。これはお餅を砕いて砂糖をまぶしてつくることからきています。
このように日本は、たとえ名前が同じでも、住む場所が違えば食べるものが全く違うといってもいいぐらい、食のバリエーションが豊富な国と言えます。このおかげで私たちは、バラエティよく食べたいものを、思う存分食べられるようになりました。
何を食べるか迷ったら意識したい、たった2つのポイント
しかしその反面、選択肢が多ければ多いほど混乱し、何を食べていいのかわからなくなってきました。中華料理屋さんで豊富なメニューの数々からはなかなか選べないのと同じで、人は選択肢が多ければ多いほど、選ぶことができなくなるのです。
「一体、何を食べたらいいの?」と、多くのママたちは、食に関する悩みを持っています。こどもにアレルギーがあったり、自分の体調不良があったり、何かのきっかけで食に気をつけようと思い、調べれば調べるほどわけがわからなくなり、「まあ、いっか」と諦めるか、ストイックになりすぎて、食べるものがない!という状態になったり。
このどちらにもならず、迷わずに食事を選べるようになる方法があることを知っていますか。何を食べよう?と迷ったら、意識したいポイントはたったの2つです。
1つめは、日本の伝統的なものに立ち返ること。私たちが古くから食べ続けているもの、長い歴史のなかで慣れ親しんできたものには、私たちを根底から元気にする力があります。だから長い歴史のなかで、脈々と食べ続けられてきました。
そして2つめは、自分が住んでいる地域の食べ物を食べること。なぜなら人間である私たちも自然の一部であり、生きていくために生きる地域でとれる食べ物を食べることがなによりも人間の生きる底力を育んでくれるからです。
ひなまつりのような伝統行事は、実はただ祝うためのものではなく、これらのことを私たちに思い出させてくれる良い機会なのかもしれません。食べることの原点に立ち返ることで、人はもともと持っている生命力を発揮します。
そんな思いで、ひなまつりを祝ってみるのも、いいかもしれません。
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ギール里映

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