野菜が嫌いなお子さんは多いですね。ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素のために野菜をたくさん食べさせたい!というのは全てのお父さん、お母さんの願いだと思います。しかし、子どもは野菜を食べません。
無理やり食べさせることは不可能なので、細かく切ってハンバーグやチャーハンに混ぜたり、スープにしたり、いろんな工夫で食べさせようとしますが、そんな手間暇、工夫が続くのではお母さんも大変。もっと簡単に、食べさせる方法はないものでしょうか。その前に、なぜ子どもが野菜を嫌いなのかを考えてみましょう。
子どもの方が大人よりも味に敏感
子どもの味覚は大人の3倍以上も敏感と言われています。味を感じる味蕾の数が赤ちゃんで10,000個ぐらい、そして成長に伴って10歳ぐらいまでに17,000~18,000個に増え、その後20歳ごろには10,000個に減少していくことが理由です。子どものころに嫌いだったものが大人になってから美味しく感じるというのはこのためで、つまり味に対して鈍感になった、ということなのです。
野菜には、独特の苦みやえぐみ、酸味があります。大人にとっては大した苦味ではなくても、味覚が大人よりも敏感な子どもたちにとっては、実は強烈な味なのです。また最近の野菜は昔の野菜と比べて、味が変わってきているのも理由の一つです。農薬や肥料を使うことにより、野菜本来の味が失われてしまうばかりか、野菜の苦みやえぐみが強くなってしまう。普段野菜を全く食べない子どもが、野菜をオーガニックや自然栽培のものに変えただけでぱくぱく食べるようになった、ということはよくあります。いつも同じところで買ってきた野菜を必死になって食べさせようとする前に、普段とは違ったところで、本来の旨味が詰まった野菜を探して買ってくるだけで、子どもは野菜を食べてくれるかもしれません。
野菜からとれる栄養は補助的なもの
しかし、管理栄養士の小山浩子さんによると、「子どもの成長に必要な栄養素は、炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素です。実は野菜から摂れる栄養は補助的なもので必須ではないんです。」ということ。もちろん、全く食べなくてもいいということはありませんが、大人が思うほどたくさん食べなくてもいいものだそう。そうきくと、少し気が楽になりますね。
とはいっても、全く野菜が食卓に上らないのは問題です。子どもは日々いろんなことを体験し学習していくもの。
食事の時間も、大切な学習の時間です。「どうせ、食べないから」といって食卓に並べないのであれば、いつまでたっても子どもは野菜に慣れ親しむことはできません。「どうせ食べないかもしれないけど、こういう野菜もあるよ」と見せるつもりで、まずは食卓に並べてみる、という工夫は必要です。食べさせるのが目的ではなく、見せるのが目的と分かっていれば、食べてくれなくてもいいわけです。
あまり食べなくても心配いらないとしても、全く食べない、食べさせないのはやはり困ります。少しでも食べてくれる方法を、一つ二つはもっておきたい。そんなときにまず考えたいのが、「素材の味を引き出す調理」をしていること。野菜は加熱することで、甘味や旨味がまします。
サラダなどの生野菜を食べさせるより、加熱調理をした野菜にすることで、味や食感、匂いも食べやすいものに変えることができます。また消化吸収が未発達な子どもの場合、生で食べるのは胃腸に負担がかかります。加熱調理することは、甘味、旨味が増すばかりではなく、そんな胃腸への負担を軽減してくれるのです。
ケチャップやソース、マヨネーズを使って味付けすることで食べやすくする、というアイデアもありますが、そのような強い味に小さい頃から慣れさせてしまうよりは、食材本来の味をしっかり教えてあげることが、乳幼児期に必要なことだと思います。子どもの敏感な味覚に、強い味の調味料は不要です!
家族で食卓を囲みましょう
そして最後に、やはりお父さんやお母さんが美味しそう、楽しそうに食べていることが重要です。
「野菜を食べなくちゃ」「あれもこれも食べさせなくちゃ」ということばかりを考えて、美味しさや楽しさを二の次にしていませんか?子どもは親の背中を見て育ちます。そして楽しいもの、美味しいものに素直に反応するものです。まずは親である私たちが、本当に美味しいと思える野菜を見つけ、楽しく食べられるような食事タイムを作ること。まずは肩の力を抜いて、ゆっくり楽しく食べるように心がけて見てください。そうすることで、今は野菜が嫌いな子どもでも、そのうち大きくなったら色々食べられるようになりますよ!
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ギール里映

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