うちの息子(4歳)は体操教室に通っているのですが、家を出る時間が迫っても、なかなか支度を始めようとしないことがあります。そのようすを見ていると、「このままだと遅刻する!」とイライラしちゃいます。みなさんもそんな経験はありませんか。
そんなときに有効なアドラー心理学の理論を、わたしが編集した『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』(熊野英一著、小学館発売、以下本書)を引用しながら、ご紹介していきます。
習い事は、だれの課題?
そろそろ習い事の時間なのに、遊んでいて支度を始めようとせず、「今日は行きたくない」と駄々をこねる子ども。そんなとき親は、脅したりすかしたりして行くように促し、時間に間に合うように荷物の準備を代わりにやってあげることも多いと思います。子どものために「よかれ」と思って、、、
でも、これってほんとうに、子どもにとって「よいこと」なのでしょうか。
ここでご紹介したいのは、アドラー心理学の「課題の分離」という考え方です。本書では次のように説明しています。
アドラー心理学では、「その課題はだれの課題か」を踏まえて、「課題の分離」をすることを勧めます。
「他者の課題には、おせっかいを焼かない」
「他者の課題は、まずは信じて見守る」
「自分の課題には、他者の介入を認めない」
「自分の課題を他者のせいにして、依存的な解決を求めない」
「自分の課題は、自分が解決しようとする」
といった振る舞いです学校の宿題、忘れ物、子どもの部屋の片付け、子どもの交友関係、朝寝坊、兄弟げんかなどは、すべて「子どもの課題」です
習い事は「子どもの課題」ですね。遅刻したり欠席したりして不利益をこうむるのは、親ではなく、子どもなのですから。一方で、「遅刻すると、しつけができていないと思われて嫌だ」「せっかく通わせているのに、お金がむだになる」というのは、「親の課題」といえます。
ところが、親は「子どもの課題」を自分の課題と混同し、手出し、口出ししてしまいがちです。それを続けると弊害が生じる、と本書では指摘します。
「あなたのためだから」と言いつつ、じつは自分の価値観を押し付け、あるいは、自分の心配を晴らす目的で、「子どもの課題」に土足で踏み込んで手出し、口出ししていると、子どもの勇気はくじかれ、子どもは自立よりも依存を選ぶようになります
「遅刻して先生に怒られた」「半分しか練習できなかった」「次は遅刻しないようにしたい」「そのためには早く支度しよう」と、子どもが失敗から自分で気づき、学ぶことが、自立のためには欠かせません。親はその環境をつくることが大切で、そのためには「課題の分離」をする必要があります。
しかし、親が「子どもの課題」に介入し、失敗を未然に防いでしまうことを続けると、子どもは学ぶ機会を奪われ、自立へのステップを踏むことができなくなってしまうのです。
「習い事行きたくない」という気持ちに共感しよう
では、親はいっさい手出し、口出ししないほうがいいのでしょうか。
取り入れてほしいのが、前回の記事でもご紹介した「共感ファースト」です。自分の思いや価値観をいったん横に置き、「習い事に行きたくない」という子どもの気持ちに、「共感ファースト」してみてください。
――ある日、親に「体操教室に通ってみない?」と誘われ、無邪気に「行きたい!」と答えた子ども。まだ幼いので、習い事を続けることの大変さやお金のこと、すべてを理解して「行く」と言ったたわけではありません。
子どもの気持ちは変幻自在です。雪が降れば、寄り道したくなります。
親「遅刻しちゃうよ?」
子「でも、今は雪で遊びたいの!」
今朝はブロックに熱中しています。そろそろ家を出る時間ですが、やめる気配がありません。
親「欠席したらお金がむだになるよ!」
子「でも、今はブロックをやりたいの!」
自分が子どもだったころを思い出してみてください。きっと、似たような経験があるのではないでしょうか。
解決策は子どもと一緒に模索しよう
親「そうだよね。もっと遊びたいよね」
親「君の気持ちもわかるよ」
まず子どもの気持ちに共感を示し、その後で、親の思いを伝えてください。この順番の大切さについて、本書は次のように説いています。
共感により「わかってもらえた」と確認できて初めて、解決策に取り組む勇気をもてるようになるのですから
親「でもパパは、時間に遅れないように行くことも大事だと思うよ」
親「どうしたらいいか、パパと一緒に考えよう」
強制しても習い事に行かせるべきか、それとも、子どもの気持ちを優先するべきか――どちらが正解かは、わかりません。ですが、親の思いを押し付けるよりも、丁寧なコミュニケーションを心がけたほうが、子どもの成長や自立にとってはプラスになります。
「課題の分離」をして、子どもの気持ちに「共感ファースト」。みなさんも試してみてください!
『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』(Kindle版もあります)
https://www.amazon.co.jp/dp/4778035372
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酒井徹

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