先日、すいっちのパパコミュニティ「オレの育児スタイル」などで、朝、子どもとお別れするときに、どんな声がけをするのかというアンケートをとりました。その時に、何人かのパパから「良い子でね」という声がけは絶対にしない、言わないように気を付けているという声がありました。私も、全く同様で、子どもには「良い子でいてね」という言葉はできるだけ言わないようにしています。
「良い子」という言葉には、子どもの行動に制限をもうけてしまい、自分の気持ちよりも周りの目を気にするような子どもになってしまうという印象があるからです。
今回は、「良い子」にしようと思っている親の過剰な声がけが子どもの成長に支障をきたしており、本当の意味での「良い子」になってもらうための子どもの接し方について書いてみたいと思います。
目次
「貸して」と言われたら「いいよ」と答えるのは「良い子」?
以前、すいっちでは「貸して」「いいよ」という会話に違和感を持つ保育士の記事を紹介しました。
子どもが遊んでいるおもちゃを、他の子が「貸して」と言ってきたら「いいよ」と答えなさいと教えるシーンを目にしたことありませんか?これは、自分の気持ちよりも相手の気持ちを思いやる行為です。「相手の気持ちを思いやる」ことは大切ですが、自分の気持ちを押し殺すことを強要していますよね。
あなただったら、どうでしょうか? 何かに夢中になっている時、友人から「それ、貸してくれない。オレも使いたいから」と言われたら、「あっ、ちょっと待って」とか「明日でもいい?」って答えませんか? 自分が夢中になっている時に、貸してあげることなんてないでしょ?でも、それが「良い子」とされていませんか?
子どもに必要以上に利他的行為を押し付けることは止めましょう。親が言ったことを守ろうとして貸してあげた子の気持ちを考えたことはありますか?
本当に貸しても良いと思っていれば良いのですが、親が言ったからしかたがなく貸したとしたら、、、、
・自分の気持ちを押し殺している
・没頭するという体験を削がれている
・親の顔を気にするようになる
・親のいない場所で好き勝手するようになる
このようなことが考えられます。
「貸して」と言われたら「いいよ」と答える子は「良い子」なのでしょうか?「良い子」になるために犠牲にするものがあまりにも多すぎませんか?
良い子って何だろう?
親からみる良い子、周りから見た良い子。おもちゃを「貸して」と言われたら「いいよ」と答える良い子。どこにも子どもの気持ちや主体性が考慮されていないと感じるのは気のせいでしょうか?
「良い子でいてね」という言葉は、「ママやパパの言うことを聞いてね」というのと同意です。しかも、子どもにとっては「良い子」の定義がわかりません。具体的に、何をしたら良い子なのか具体的に示さなければわからない事も多いでしょう。
更に、「良い子にしてないと怒るよ」なんて言われたら、子どもはパニックです。だって、「良い子」の定義はわからないけど、「怒る」という感情はわかりますから。何をしたら良い子と言われ、何をしたら怒られるかわからない状態です。それは、もう親の言うことを、ただ聞くしかなくなるでしょう。
多くの親が仕事に育児に忙しい毎日を過ごしています。できるだけ、子どもには「良い子」でいてもらって、スムーズに家事育児をこなしたいと考える気持ちはよくわかります。ただ、幼少期に「良い子」を強要することは、子どもの成長に悪影響を及ぼすことがわかってきているんです。
教育カウンセラーの諸富祥彦先生によると、親を意識しながら自らが頑張る力を発揮する「一般的な良い子」と、親の期待に過剰に応えようとするいわゆる「いい子症候群」には決定的な違いがあると言われています。
この「いい子症候群」とは、褒められることよりも、親が不機嫌になることを恐れ、どうしたら親が喜ぶのかを常に考える子どもの思考のことです。
その特徴は、
■言動が受け身
■自己主張が苦手
■感情表現が乏しい
■親の指示がないと不安になる
■小さな決断も自分ではできない
です。
「良い子」になってもらいたいという強い想いが「いい子症候群」に導いているのかもしれません。
本当に「良い子」になって欲しい子どもへの接し方
「いい子症候群」の要因は、やはり親の子どもへの接し方が大きいのです。子育てで自分の欲求を満たしたい、子どもをコントロールしたいという気持ちが行動に出てしまいます。
まずは、子どもはひとりの独立した個人であると意識することが大切です。大人と接するのと同じように一方的に自分の理想を押しつけたりしないようにしなければいけません。
ですから、このような発言はしないように気を付けましょう。
「いい子にしなさい!」
「言うことを聞きなさい!」
「なんで言ったことができないの?」
「ほかの子はできるのになんでできないの?」
また、子どもの行動を少し待ってから口にして欲しい言葉は
「〇〇は、もうやった」
「なんで、まだ〇〇してないの!」
「早くしなさい!」
子どもには成功して欲しい、競争では勝って欲しいという気持ちが、逆に長期的な視点で見た時に、自分でやり抜く力を削いでいます。
では、どのように声をかけていけばいいのでしょうか?
子どもの考え・意見を尊重する
子どもに意見を聞く習慣をつけ、子どもの判断・選択を尊重しましょう。
「今、宿題をする?それとも、公園で遊んで帰ってからする?」
「新しいおもちゃを出す前に、今、遊んでいるおもちゃと片付けると失くしたりしないと思うけど、どうする?」
子どもの判断の結果、親だけでなく子どもにとっても良い結果にならないこともあるかもしれません。その時は、笑って失敗しちゃったねと言ってあげましょう。その繰り返しが、子どもの成長につながります。
親の気持ちを子どもに伝える
子どもに対して、「嬉しい」「悲しい」「寂しい」「〇〇だと思うよ」というような気持ちをストレートに伝えましょう。
言ってもわからないだろうと思っていても、子どもは感じ取れることができています。しっかりと親の気持ちを伝えることで、相手の気持ちを考えられるようになるし、自分の気持ちもストレートに表現できるようになります。
おもちゃを「貸して」と言われて、もう使わなかったら、「いいよ」と答え、まだ遊びたかったら「まだ、だめよ」「あとで」と答えられるようになるのではないでしょうか?
子どもの行動に自由を
しっかりと「しつけ」をしたいと考えると、どうしても社会のルールをきちんと守ることを意識してしまいますよね。でも、子どもに、全てのルールを守らせることって難しい。大きな怪我をしないのであれば、周囲の人に迷惑をかけないのであれば、ルールを破ってしまっても見守ってあげるのもよいでしょう。自由に行動させることで見えてくるものもあると思います。
赤ちゃんの頃は、子どもがやることのほとんどに親が手を出していたと思います。ただ、子どもの成長のことを考えると、子どもがやりたいことを見守ってあげることが一番です。社会のルールを学ばせたい、思い描いているような子どもになって欲しいという気持ちから「良い子でいようね」と言葉が出てしまう気持ちもわかります。
ただ、それが親にとって都合の「良い子」になっていないか気を付けましょう。
この記事を読んで「ドキッ」とした方は、今からでも遅くありません。子どもへの接し方を少し変えていきましょう。
本記事に掲載されている情報において、その正確性や有益性などを保証するものではありません。この記事の情報から行う全ての行動については、読者の責任によって行ってください。「すいっち」では、その責任を一切負うことはできません。また、記事に掲載される金額やサイトURLなどは時期によって異なる場合などがありますので、詳細な情報は必ずリンク先でご確認ください。
このライターの他の記事を読む

斎藤 哲

最新記事 by 斎藤 哲 (全て見る)
- 在宅勤務パパ必見!アルティメット・パパカードが家庭内の会話を変える!? - 2021年1月29日
- 男性育休取得のメリットとデメリット│男性の育児休暇を考える - 2020年12月15日
- 【調査結果発表】たまひよがコロナ禍の妊産婦調査を実施 ママを応援するためにできることをやろう - 2020年9月3日