砧公園という大きな公園まで歩いて行ける住宅街にMANAHOUSE上用賀があります。
ここは、シングルマザー専用のシェアハウスで、現在4世帯、3歳~7歳の子ども5人が住んでいます。
このMANAHOUSE上用賀を知ったのは、クラウドファンディングのプロジェクト「ひとり親家庭で育った子どもの声を届けるインタビューWEBサイト&冊子をつくりたい」でした。シングル家庭で育った子どもにフォーカスしており、そのような境遇の子ども達の心に寄り添ってみたいと思ったことがきっかけでした。
今回、MANAHOUSE上用賀を運営しているシングルズキッズ株式会社の代表山中真奈さんにインタビューさせていただき、MANAHOUSE上用賀に対する思いや現状の課題などを伺ってきました。
目次
MANAHOUSE上用賀はシングルマザー専用の現代版「下宿」!
最初に、MANAHOUSE上用賀について教えてもらいました。
斎藤:現在、何家族がMANAHOUSE上用賀に住んでいるんですか?
山中さん:今は、4世帯、子どもは3~7歳まで5人います。子ども達が帰ってきたら、まるで動物園のようで楽しいですよ(笑)
斎藤:うちも7歳と4歳の子どもがいるので、子どもが何人か集まるとどうなるのかはイメージできますね。毎日の食事はMANAHOUSE上用賀で提供しているんですよね?
山中さん:平日の夕食だけですね。食事を作ってくれるスタッフが日替わりでやってきます。朝食と休日はママがそれぞれ作っています。保育園へのお迎えは私が行っています。
斎藤:シングル家庭ではなくても、働いているママにとっては仕事から帰ってきて夕食の準備でできているなんて幸せですよね。食事を作っている間は、子ども達はそれぞれ遊んでいるんですか?
山中さん:そうですね。それぞれテレビを見たり、おもちゃで遊んだりしています。あくまでも子ども達に対しては、見守りというスタンスです。
単なるシングルマザー専用のシェアハウスではなく、シニアと地域が支える現代版”下宿”とうたうMANAHOUSE上用賀。平日の夕食の準備をしてくれて、夜21時までは見守りをしてくれる。そして、保育園のお迎えもお願いすることができます。
従来のシングルマザーの支援というと、経済的な自立を目的としたサポートが多かったけど、既に経済的に自立できているシングルマザー向けの支援ってなかったのかなぁと改めて感じました。
MANAHOUSE上用賀は、経済的に自立しているママ向けに、物理的サポート(住居の提供、21時までの子どもの見守りなど)と心のケア(仕事ができる十分な環境、同じ境遇のママ同士のつながりなど)を提供している「下宿」なんですね。
キャリアをしっかりと積み上げてきた母親がシングルになれば、経済的な支援だけでなく、思いっきり仕事ができる環境を提供してあげることも、重要になってくると思います。その先駆けとなっているのがMANAHOUSE上用賀なんですね。
シングルマザーの悩みは孤独感からくるプレッシャー
斎藤:共働きのママにとっても夕食の準備があったり21時まで見守ってくれたりする環境って羨ましく思う方も多いでしょうね。
山中さん:そうでしょうね。
斎藤:では、共働きのママにはないシングルマザー特有の悩みって何でしょうか?
山中さん:それは、やはり頼れる人がいないという孤独感が一番じゃないですかね。子どもが成長していく過程で数々の意思決定をひとりでやらなければいけないですからね。世界中に私たちしかいないんじゃないかとおっしゃるママもいて、孤独を感じる漠然とした不安って大きいと思います。子どもに相談するわけにはいかないですからね。
斎藤:わが子のことって、いくら相談相手がいても最終的には親が決めないといけないですもんね。その時の決断をひとりでやらなければいけないって、かなり不安とプレッシャーを感じるでしょうね。
山中さん:そうですよね。とにかく倒れちゃいけないとか、「私が病気になったら、、、」という思いって強いですよね。
斎藤:そういう意味でも、MANAHOUSE上用賀って頼りになる存在ですよね。同じような境遇のママがいて、支えてくれる人たちがいるのってすごく安心につながりますよね。
山中さん:そうなんです!仕事に子育てに忙しいと友達と会う時間も限られてきますし、よくママ同士で話していますよ。
シングルマザーの不安やプレッシャーを軽減してくれるコミュニティって、とても貴重です。自分自身のこと、子どものことを日々相談できる相手がいる。しかも、互いの子どものこともよく知っている中で話ができるのはとても助かるようです。
「つながり」を子ども達に作りたい
斎藤:さて、少し話題を変えてMANAHOUSE上用賀で開催している会員制地域食堂について教えてください。
山中さん:はい、平日なら事前に予約をしてくれれば、みんなで一緒に夕食を食べることができます。ただ、居住空間でもあるので、誰でも来てください!って感じにしてはいないんですよね。実際に、通っている保育園や小学校のお友達や、この活動を応援してくれる人が多いですね。
斎藤さんも、ぜひ、きてくださいよ!
斎藤:はい。子どもふたり連れてこようかな。
山中さん:このMANAHOUSE上用賀を作る前に、ひとり親で育った20~40代の男女34名にアンケートをとったんですけど、孤食の方が本当に多かったんですよね。それと、ママも平日仕事しているので、土日はゆっくりしたいし、ママひとりだと、どうしても行動が狭くなってしまうこともあるんですよね。
そうすると、どうしても出会いも少なくなってしまいます。先ほどのアンケートでも、大人の男性と出会うことがなくて、社会に出てから大人の男性とのコミュニケーションが苦手だという方もいるんです。
だから、子ども達に多くの「つながり」を作りたくて、地域食堂もやっているんです。
子育てをする上で地域とのつながりを作る事って本当に大切だと思います。親の価値観だけでなく、色んな価値観に触れることで、多様な生き方があることを知ります。学校で教える勉強だけでなく、多くの価値観や刺激に出会い、コミュニケーションをとっていくことが子どもの成長のこやしになるんです。
もっと多くのシングルズキッズのサポートをするために
斎藤:ひとり親で育つ子どもにフォーカスをあてる活動って、まだまだ少ないですよね。
山中さん:そうですね。以前実施したアンケートで、ひとり親で育った子どもの状況や心境はわかっています。辛く寂しい想いをしている一方で、親に感謝している声がたくさんあったんです。今、内見に来るお母さんには、その声を伝えているんですが、もっと多くの方に伝えたい、見える化したい、とずっと思っています。
斎藤:それを、クラウドファンディング「ひとり親家庭で育った子どもの声を届けるインタビューWEBサイト&冊子をつくりたい」で実現させようとしているんですね。
山中さん:そうなんです。実は、これ狙いが2つあるんです。ひとつは、お母さんへの不安の払拭です。「大丈夫だよ、ちゃんと子ども達は見てくれているよ」っていうことを伝えたいんです。もうひとつは、ひとり親の子どもたちが困っていることを訴えたいんですよね。大人たちが自分の頭で考えたサポートではなく、当事者でもある子ども達の声を反映したサポートを考えて欲しいという願いがあるんです。
子ども達をハッピーにする活動をしていきたいと語る山中さん。現在、ひとり親の子ども達の声を見える化させるために、その資金をクラウドファンディングで集めようと動いています。ひとり親で育った大人たちに当時のことを振り返ってもらうことで、親への感謝の気持ち、幼少期に困っていたこと、その影響で今でも困っていることなどがカタチになっていくという活動を「すいっち」としては応援していきたいと思っています。
「ひとり親家庭で育った子どもの声を届けるインタビューWEBサイト&冊子をつくりたい」
https://camp-fire.jp/projects/view/197100
インタビューを終えて
「シングルマザー」と聞くと、経済的支援を活動の中心だと思い込んでいたので、MANAHOUSE上用賀の家賃を見た時に、入居者いるのかなぁと感じたのが最初の感想でした。
でも、共働きが当たり前になり、女性もどんどんキャリア形成をしていく時代、経済的なサポートよりも、安心して働ける時間を確保するサービスにもニーズがあることがハッキリとわかりました。
他にも、
・ひとり親の子どもにフォーカスを当てる
・ひとり親で育った大人から幼少期のアンケートをとることで、ひとり親の現実を知り、それを社会に訴えていく
・会員制地域食堂を開催することで、子どもと社会との「つながり」を作る
という部分に強く共感しました。
シングルズキッズ株式会社
http://manahousekamiyoga.singleskids.jp/
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斎藤 哲

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