『2.03%』*1
この数字は何でしょうか?
これは、平成25年度の男性の育児休業の取得率。ちなみに、女性は、76.3%*1。
みなさん はじめまして。
橘と申します。
すでに、ご存じかと思うが、育児休業(以下「育休」)とは下記のとおり。
・子どもが1歳(一定の場合には1歳半)になるまで育児のために休業
・休業中の賃金は必ずしも保証されないが、雇用保険法による育児休業給付を受給
つまり、
子育てのために、1年間仕事が休むことができ、その間給付金を受けることができる制度のこと。
本制度は、『男女』ともに活用できる。
法律上は、『男女』ともに育休を取得できるが、現実男性の利用者はほとんどいない。
最初に書いたように、2.03%である。
そんなシーラカンスのように珍しい育休男子に、小生もなってみた。
しかも3回。なかなか稀有な存在である。
育休とるもとらないも、人それぞれ。
平均寿命80年の今、育児に集中する時期があってもいいのではないだろうか。
とはいえ、育児期と出世のキャリア形成期は、重なる。
育児はしたいが、キャリアへの影響を考えると躊躇している人も多いはず。
本来であれば、育児も仕事もどちらもWin-Winな関係を築くのが理想であるが、そうもいかないのが現実。まさに、育休世代のジレンマである。
小生、大学生の時から、育休を取ろうと決意していた。
そんな10年来のプロジェクトを開始しようとした矢先、思わぬ敵が現れた。
最大の関門となると想定していた会社は、驚かれたものの、思いのほか淡々と終了した矢先のことであった。
プレパパ真っ最中の2011年1月からファザーリング・スクールに通っていた。
その当時は、イクメンへの関心度が高く、毎回のようにメディアの取材があった。
初回の自己紹介の際に、声高々に「1年間育休をとる」と宣言したところ、共同通信から取材を受けた。
ちょっと話を聞かれただけなので、掲載されないだろうなと思いっていたら、記事になると連絡あり。
共同通信なので、何に載るかは不明。
そしたら、たまたま小生の地元の新聞(しかも、普段家では購読していない新聞)に掲載され、それを目ざとく父親が見つけた。
うちの両親に、育休取ることは、かなりぼんやりした感じでは伝えていたものの、晴天の霹靂だったらしく、その日から父親・母親から魔の電話攻撃。
反対の理由は、
・子供が生まれて、お金がかかるというのに、会社を休むとは何事か。
・お前なんか家にいても、育児の邪魔だ。奥さんに任せておいた方がいい。
・お前に育児なんかできない。育児を甘く見るな。
・出世できなくなる。
・リストラにあう。
・働かざる者食うべからず。
・そんな風に育てた覚えはない。
・今ならまだ間に合う。上司に謝れ。
etc・・・。
それはそれは、ひどいことを言われた。
これの一種のパタハラ(パテニティハラスメント)である。
繊細な心の持ち主である小生は、もちろん傷付き・落ち込んだ。
しかし10年かけて準備をし、人生をかけた壮大な計画。
何を言われても止めるつもりはなく、改めて、取得することを決意し、断固たる意志の下、魔の電話攻撃と戦った。
そんな中、2011年3月11日に東日本大震災が起き、取得するか悩んだものの、
改めて人生とは何かを問い直し、取得することを決意。
2011年5月となり、元気に息子が誕生し、待ちに待った育休ライフに突入。
その後、両親と育休について、語り合ったことはなく、未だに本件は、我が家のタブーとなっている。
両親がどう思っているかは、不明。
これは、イデオロギー違いであり、ジェネレーションギャップであり、生き方の違いであり、水と油であり、永遠に相いれないものだと思う。
まさに取材を受けた際の講座の講師 ファザーリング・ジャパン代表 安藤哲也氏が、「地方に住んでいる親は理解できない可能性がある」とおっしゃっていたが、まさにそうであった。ただ、孫はかわいいようで、孫との交流は活発である。
会社からのパタハラについては、よく聞く話だが、家族からのパタハラについては、珍しいのではないだろうか。これから育休をとりたいと思っている方は、ぜひご注意あれ。
やはり、まだまだ男性の積極的な育児参画には大きな壁がある。これには、男は仕事・女は家庭という社会通念(しがらみ)が根付いているからではないか。パパの積極的な育児参加のためにも、Break the しがらみ。その第一歩として、まずは育休をとってみてはいかがだろうか。
* 本コラムは、ファザーリング・ジャパン さんきゅーパパプロジェクト 『育休という、劇薬』より一部抜粋し、大きく改題
https://www.facebook.com/sankyupapa.project/
*1 厚生労働省 「平成25年度雇用均等基本調査」より
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橘 信吾

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