5分も一緒にいれば親友が出来ちゃうコミュニケーション上手なママたちと違ってなかなか子育て友達ができないと言われるパパたち。しかし!そんなパパたちの中でもコミュニティを作って、互いに楽しみながら育児をしている人たちもいます。
「パパコミュニティ紹介」では、全国にある様々なパパコミュニティの情報、さらにはそんなコミュニティを支えている様々な先輩パパたちの声を届けていきます。
今回は地域を問わず、子どもたちの力を社会に活かす様々な活動をしているNPO法人「コヂカラ・ニッポン」の副代表兼事務局長、中原久子さんにお話を聞きました!
<コヂカラ・ニッポン 基本情報>
■設立年月 2012年5月7日
■現在のメンバー数 およそ60人 ※男女半々くらい
■参加入会資格 特になし 誰でもOK
■主な活動内容 コヂカラ商品開発、コヂカラ地方創生、コヂカラ地域活性化など
子どもたちのチカラ=コヂカラを活かす活動を中心に講演や子ども事業アドバイザーなど
コヂカラは大人を動かす
“子どもには無限の可能性がある”ということは多くの人たちが感じていることかもしれません。とはいえ、具体的にどんな可能性があるのでしょうか?
「私たちコヂカラ・ニッポンは子どもたちが持つ力を“創造力”“発想力”“好奇心”“工夫する力”“遊び心”“あり余るエネルギー”だと思っています。
この力を企業や地域、家庭などを輝かせるために活かすことと、活動を通じて子どもたち自身も、仕事や家庭の場で大人に役立つことを体験してもらいたいと思ってます。また、このような活動を通じて、成長していくこと、そんな“子どもと大人の双方向性”で、“実践を伴った子ども教育”と、“企業や地域などの発展”という2つを同時に達成することが、活動目的です。
実際に、これまで企業の商品開発や地域活性や、地方創生にコヂカラが発揮されてきています。シューアイスのHIROTAとコラボしてお米のシューアイスを開発した時には、子どもたちの熱い思いが最初はそこまで関心が強くなかった企業を動かす姿を目の当たりにしたこともあって、想像していた以上のコヂカラを体感してきました」
失敗を見守るドキドキ
“子どもたちにまかせる”と一口に言っても、実際には口を出したくなってしまうもの。果たして、本当に子どもたちの力だけでどこまでできるのでしょうか?
「例えば、私が関わっている千葉県にある船橋芝山団地商店街の地域活性として行っている商店街イベントを例に説明します。
子どもたちはイベントの企画はもちろん、商店街の店舗への協力要請、仕入れ、当日のイベント運営まですべてを子どもたちに任せます。もちろん、お金を借りて、利益を出すことも子どもたちに考えさせるんです。実際に子どもたちが行ったのはハロウィンイベントだったのですが、空き店舗を利用したお化け屋敷やスタンプラリー、仮装コンテストまで大人顔負けのイベントを成功させて、今年(2017年)で5年目となります。
私たち大人がサポートするのはあくまでプロセスのみ。具体的にはPDCAサイクルという考え方、つまりPlan=企画、Do=実行、Check=評価、Act=改善を順序だてて行うという方法ですね。大人が一つでも“こうしたらいいんじゃない”と言いだすと子どもたちは考えるのをやめてしまう。待つことはとても難しいですが、そこはグッとこらえます。
たとえそれが失敗しそうなことでも失敗するまで見守る。その時は本当にドキドキです(笑)それでも良かった点をピックアップしてちゃんと伝えることで次につなげていきます。そうすると後々素晴らしい成果をあげるんです」
チームとして動ける子どもたちへ
話を聞く限り、なかなかハードルが高いように感じますが、小さい子供でも参加することはできるのでしょうか?そして、プロジェクトを通じて子どもたちにはどんな変化があるのでしょうか?
「プロジェクトごとにある程度年齢は区切っています。小学生や中学生、高校生、大学生はもちろん、未就学児でも参加できるものも過去にはありました。それぞれのプロジェクトに関わると必ず子どもたちの成長が見えるのが本当に楽しいです。
例えば、会議で発言することが苦手な男の子がいたんですけど、高齢者施設でのイベントを行った時には、得意の手品を披露してお客さんを販売ブースに集めたんです。販売はまた販売が得意な子がやって、結果としてチームとして役割を分担することができた。イベントなどをやると、ハプニングだらけなわけですが、その時に柔軟に対応したり、それぞれの強みを活かせるように子どもたち同士が協力したり、やはり子どもたちはすごいです。
もちろん、途中で行き詰って投げだしちゃう子もいるんですが、その時にチームでどうするか?ここも大人は我慢(笑)そこでチーム力がつくんです。また、学校内でおさまらないで、商店街の人たちなど実際の社会と関わることも貴重な経験になります。本当の意味での職業体験になっていると感じますね」
関わることで大人も変わる
そんなコヂカラの活動には、関わる大人たちの意識を変えることもあるそうです。
「参加したパパの言葉で印象的だったのは“子どもたちがやっていることはまさに会社の縮図”という言葉と“子どもたちの活動の仕方を見ていて自分の仕事を見直した”という言葉です。
彼らの活動はとても純粋で、本当に学ぶことや考えさせられることがあります。参加したパパの中には、デザインだったり、税理だったり、自分たちが実際の仕事で得たスキルを子どもたちに伝えようと講座を開いてくれる人たちもいます。もちろん、これもあくまでサポートまでで決して手を出すことはしません。パパ同士も情報交換をし合ってどうやっていくかを子どもたちに負けないくらいイキイキと考えているみたいです。
また、子どもたちと付き合っていく中で、いいところを見逃さないことなど、実際に部下を育てるときに役立つスキルも身に着いたりするんです。私自身、かつて企業の人事をしていた時に、面接に来た就活生と企業の採用担当者の間に大きなギャップというか格差を感じていました。就活生が一生懸命話しても大人に一蹴されてしまうし、入ったとしてもなかなか力をつけられずに3年でやめてしまう人も多い。本当にもったいないと思うんです。そういう姿を見ている中でもっと早い段階でのキャリア教育の必要性を感じていたので、こういった活動に関わるようになりました。
今、思うことこの子どもと大人の格差をなくすために必要なことは、互いを認め合うことだと思います。子どもだからできないと思わずに対等なパートナーとして扱うこと。とても難しいことですけど、実際にそう扱うことで、子どもたちは対等のレベルまで上がってきます。子どもたちの力はすごいのでそれができるんです。子どもたちの力が弱くなっていると言われることも多いですが、そこは大人たちが変わって力を引き出していくことが必要だと思います」
子どもたちを信じて手も口も出さないということは、頭ではわかっていてもなかなかできないことですよね。自分自身の子育てにおいても、身につまされます。そして、それを最大限にサポートすることが実は大人も変わるというのは、納得です。それぞれの親子はもちろん社会自体も変えてしまいそうな素敵な取り組み。これからも応援していきます!
NPO法人コヂカラ・ニッポン
http://kodikara.org/
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杉山ジョージ

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