兼業主夫放送作家の杉山ジョージです。1976年生まれ。不惑のはずが惑いまくっている40歳。服飾デザイナーの妻、アヤコとはいつの間にか結婚16年目に突入。子どもは二人。いずれも女子。この連載では主に、中学校1年生の長女なっちゃんとの経験と、そこで得たもの、失った(?)ものなど、一般的に難しいと言われる“父と娘”の関わりを綴っていきます。
父と娘だから良かったこと、父と娘だから困ったこと、特に娘を持つパパさんや、習い事を頑張るお子さんがいる方に、もしかしたら参考になるかもしれないいけど…、ウチの娘、かなり個性的なので参考にはならないかも…(苦笑)まあ、気軽にお付き合いくださいませ。
子どもとのおでかけ。困るのが急に来るトイレ問題。あれ?どうにかならないもんですかね…。まあこればかりはタンクが小さいわけで仕方ないこと。当然、トイレを探して急いで行かないと!そこで事件は起こったのです。
今でこそ環境は良くなったけど
最近いろいろなところで「だれでもトイレ」というものを見かけるようになった。
もともと同じような設備はあったのだが、僕が小さいなっちゃんとお出かけをしていた10年くらい前はまだ名前が違った。主に車椅子を使用している方などに向けたトイレとして表記されていたと思う。つまり、子育て中の人が入る場所ではなかった。それが名前を変えることで使う人の幅が広がり、何かの事情で普通のトイレに入りにくい人に向けたものになった。
その事情の一つが子育て中の人である。
振り返ってみると「だれでもトイレ」じゃなかったころは大変だった。まず、和式しかないところもあって、せっかくトイレを見つけてもなっちゃんに嫌がられる。4歳くらいになると、男子トイレが嫌がられる。あーもう面倒くさいったらありゃしない。
事件の舞台はフットサルコート
そんな中、ちょっとした事件が起こる。場所はフットサルコート。できるだけいろいろな大人に合わせたいと考えていた僕は、仲間内のバーベキューはもちろん、こういったフットサルも含め、子連れに理解がある仲間と遊ぶ時には積極的になっちゃんを連れて行っていた。大人相手でも物おじしない社会性は必要だと思うからである。
さて、いつものようにフットサルが始まった。僕はコートの中、なっちゃんはベンチ。その時、観戦中のなっちゃんがトイレに行きたくなってしまった。さあ、どうする??なっちゃんが叫ぶ「パパ!トイレに行きたいけど、誰に聞けばいいの!」うーん、僕は僕で困る状況。試合中に急に抜けるわけにもいかない。ベンチを見ると何人か別のメンバーがいる。
試合中ということもあって深く考えずに答えた「そこにいるパパの友達の中で一番トイレに連れて行ってくれそうな人に聞いてみて!」ベンチによくわからない緊張が走る。何せ全員独身。まったく子どもに慣れていない。
さあ、どうなる?
選ばれたのは、意外な人
スタスタとなっちゃんが近づいて行って声をかけたのは、ベンチにいる女性の中でもっとも愛想をふりまくのが苦手な女子AD!なっちゃんとは一言も会話を交わしたことがないし、その子はなっちゃんを見ても、自分から近寄ったりはしなかった。そんなわけで言われた方も当然驚いている。「トイレ連れてってください!」なっちゃんの危機的な状況に正義感が働いたのか?はたまたその子の急激に母性本能が働いたのだろうか?仕事でも見たことがないくらい真剣な表情でなっちゃんの手を取り、トイレを探しに走っていく。
ちょっと不謹慎な話かもしれないけど、面白すぎる展開!もうフットサルどころではない(笑)そして、ちょうど試合が終わったころ、二人がトイレから戻ってきた。仲良くニコニコ手をつないで。ベンチにいる全員からも笑いがこぼれた。
女子ADは、僕の顔を見ると、ため息をついた「なんで私なんですか…」大丈夫、みんなそう思っているから。そして、そこからなっちゃんとその子は、普通に話すようになった。少し違うのは大人と子どもの会話という雰囲気ではなく、1対1の人間同士のような雰囲気である。
思えばなっちゃんはそういう子だった
帰り道、一応、なっちゃんに聞いてみた。なぜ、あの子を選んだのか?「別に理由はないけどな~」予想通りの答えではあったが、ふと思い出すとなっちゃんらしい人選だったのかもしれない。
多くの女性たちは独身だろうが既婚だろうがなっちゃんくらいの女の子を見つけると「かわいい~!何歳ですか?」とかなり積極的に寄ってきて笑いかける。が、なっちゃんはこういう女性がなぜか苦手だった。決して笑顔で返すことはなく、どちらかというとにらむ。
でも、一方で、まったくなっちゃんに興味を持ちそうにもないおじさんとか、一見怖そうな雰囲気の人にいきなり笑いかけたりしてこっちを戸惑わせることも。そして、その笑いかけられたおじさんたちは、戸惑いながらも最終的には笑い返さずを得ない状況を作られてしまうのだ。もしかしたら、なっちゃんは一見怖そうな人の本質を見抜く力があるのかもしれない。親バカ的発想だが。あの女子ADももしかしたらその一人かも。
それから数年経つが、東京を離れたその女子ADとはいまだにFacebookでつながっていて、僕がなっちゃんの写真をアップすると「私がトイレに行ったあの子がね~」とコメントしてくる。なっちゃんは覚えていないだろうけど。
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杉山ジョージ

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