日本の男性の育休取得率は厚生労働省「平成 29年度雇用均等基本調査」によると5.14%。
まだまだ、とっても低い数値ですよね。
「育児休暇を取得した男性に聞いてみた!」では、男性で育児休暇を取得した方とその会社を紹介していきます。
どのようにして職場の理解を得たのか、仕事の引き継ぎは?どのくらいの期間取得したのか?実際に育児休暇中は、どんな生活だったのか?などなど、これから育児休暇を取得しようか検討している男性のためのお役にたてるコンテンツです。
さて、記念すべき第一回目は、株式会社テラスカイの伊藤さんと上司の髙井さんにお話しをうかがってきました。
目次
男性でも育休は当たり前だと思っていた
株式会社テラスカイでは、デジタルマーケティングチームのマネージャーを務めている伊藤さん。育児休暇を取得しようと思った理由から聞いてみました。
斎藤「ずばり、育児休暇を取得しようと思った理由をお聞かせいただけますか?」
伊藤さん「奥さんがワンオペになるのがわかっていたからなんですよ。初産。共働き。両親遠距離。この3つの条件が揃っていたら、どうしても奥さんひとりに負担がかかってしまいますからね。」
斎藤「わかります。私も上の子が生まれた時は全く同じ状況でしたからね」
伊藤さん「あとは、産後クライシスになるのが怖かったです。奥さんが真面目で責任感が強く、不器用だと産後クライシスになりやすいようです。」
産後クライシスになりやすい方には、他にも説があるようですが、女性のホルモンバランスの変化が原因のひとつと言われています。産後は、女性の意識は夫よりも子供の方にどうしても向かってしまいます。その時に、男性としては「どうして、オレの方を見てくれないのか」と考えるのではなく、一緒に全力で子供に向き合うことが必要だと思います。
職場の反応はとっても好意的だった
育児休業というと、職場の理解というのも非常に重要だと思います。こればかりは、本人の努力だけではどうにもしがたいものですよね。
斎藤「職場の方には、どのくらいのタイミングで育児休暇をとりたいと話したんですか?」
伊藤さん「育児休業は、2017年の11月末から1月一杯までの2か月間取得したんですが、大体、取得する5か月くらい前から話し始めましたかね」
斎藤「しっかりと前もって話してたんですね」
伊藤さん「はい、社長含めて1対1で話す機会を作ってもらって育児休暇を取得したいと伝えました」
斎藤「伊藤さんの上司にあたる髙井さんは、そのお話を聞いて、どのように思いましたか?」
髙井さん「あー、きたかーという感じでしたね。弊社も、もうすぐで社員が300名になるんですが、時代の流れで男性で育児休暇をとりたいという男性が出てきてもおかしくないと思ってました」
斎藤「自然に受け入れられたんですね?」
髙井さん「そうですね。そもそも、仕事というのは家族の支えがあって成り立つものだと考えています。家族の理解がないと従業員は100%集中して働けないじゃないですか」
斎藤「素晴らしい考え方ですね。社員の家族もとても大切に考えているんですね」
髙井さん「そうですね。うちの会社は、創業10周年パーティーを家族向けにやったりしているんですよ」
伊藤さん「社員旅行も家族連れOKなんです。だから、髙井さんも3人のお子さんと奥さん連れてきてましたよね」
髙井さん「そうそう(笑)」
この髙井さんのお話しを聞いて、頭の中に「ホワイト企業」というキーワードが浮かんできました。ここ数年で急激に社員が増えて、今度、新卒が入社すると社員数が300人に達するという株式会社テラスカイ。
社員が増えても離職が多くては仕事も回りませんよね。でも、きっと、この家族を大切にする姿勢があれば、これからも成長を続けていくんだろうなぁという印象をうけました。
育児休業中の生活はとってもハードだった
話を伊藤さんに戻します。
奥さんに育休を取得することを伝えたときも当たり前のように粛々と事を進めていたようですが、さすがに職場のメンバーに話をするときは緊張したようです。
斎藤「育児休業取得にあたって心配していたことはありますか?」
伊藤さん「とにかく、同僚などから色々と言われるんじゃないかと心配していました」
斎藤「確かに!同僚の反応は気になりますよね」
伊藤さん「そうなんです。だから、すっごく理論武装をしたんですよ(笑)会社にとってもすごくメリットがあるんだと訴えることができるように」
斎藤「そうなんですね。すっごく育児休業について勉強されているなぁと伊藤さんが書かれたブログを読んでも感じましたよ(笑)」
伊藤さん「ありがとうございます!でも、拍子抜けするくらい温かく受け入れてくれたんです」
実は、伊藤さんは株式会社テラスカイの自社ブログ「Terra Sky Base」の中でも「育児休業を2ヶ月終えて、男性が育児休業を取る時のお得なコツとか」という記事を書いています。
この記事を読んで、すごく育児休業について調査しいているなぁという印象を受けたんですよね。そして、このブログを読んだことが、このインタビューにもつながったんですけどね。
斎藤「同僚の方の反応も、羨ましいかぎりですね。元々、社員に優しい社風が影響しているんでしょうね。とはいえ、育休中は伊藤さんの仕事を誰かが引き継がないといけませんよね。どのように仕事は引き継いでいきましたか」
伊藤さん「はい。まずは、仕事の棚卸しから始めました。育休を周囲に伝えてから5か月くらいあったので整理する時間はありましたね。それを社内のwikiで共有しながら引き継いでいきました。」
(wikiとは、ブラウザ上でテキストを追加・修正できるシステム。ネットワーク上のどこからでもアクセスできるので文書を作成したり情報を共有していくのに向いている)
育休を取得する5か月前から発表したことで、伊藤さんだけでなく、一緒に仕事をする社員の方にも心にも余裕ができたんじゃないかと思います。タスクを整理するだけでなく、気持ちの準備というのが必要ですよね。
育児休暇中の生活はハード!!
斎藤「育児休業中の生活は想像していたものと違ってましたか?」
伊藤さん「とにかくハードでしたね。仕事の方が楽って言えちゃうくらい(笑)」
斎藤「確かに、初めてのお子さんだとわからないことだらけですよね。結構、家事もやっていたということですが、不得意なことってありますか?」
伊藤さん「子供が産まれる前から家事は何でもこなしていたので、特に不得意ということはないんですが、お風呂は苦手ですね。というか、怖いです」
斎藤「えっ!お風呂はパパがやるという家庭が多いような気もしますが。。。」
伊藤さん「だって、怖いじゃないですか。小さくて手から落ちそうで。。。だから、お風呂は妻とふたりでやっています」
お子さんが産まれる前から家事を一通りできる男性は、子供が産まれてからも家事をシェアするのが当たり前だと思っているようです。そこは、あまり苦労されてないんですね。
斎藤「育休中は、完全にお仕事から離れてましたか?」
伊藤さん「いえ、最初の1週間くらいは全てのメールを見て返信などもしてたけど、段々、メールチェックしなくても大丈夫だという感覚になってきましたね。あとは、僕から提案して、1週間に1回はウェブ会議を行ってはいました。」
事前にしっかりと仕事の棚卸ができていたおかげで、2ヶ月の育休中でも仕事によるストレスはあまりなかったようです。それよりも、日々、ロジックが通じない赤ちゃんのお世話と家事をまわすので、いっぱいいっぱいだったようです。
電車の中などで子供を見る目が変わった
斎藤「育休を取得して約2ヶ月がたった今、取得して良かったなぁと感じることはありますか?」
伊藤さん「今は、とても平穏に生活を送ることができています。それが一番ですね。あと、電車の中などでベビーカーに乗っている子供を見る目が変わりましたね。」
斎藤「そうそう、それはすっごくよくわかります。社会に優しくなった感じですね。」
斎藤「仕事面では、育休を取ったことが何か活きてますか?」
伊藤さん「仕事の棚卸しができたのは大きいですね。あと、男性の育児休業に詳しくなった(笑)」
斎藤「髙井さん、伊藤さんの後に続く育休取得者は出てきてますか?」
髙井さん「いや、まだですが、どうも水面下で伊藤にヒアリングがきているようですよ」
伊藤さん「はい、実は、2名ほど相談にきているんです」
育児休業を取得したいと考えている男性は、77.6%(ニッセイ基礎研究所調べ)にのぼります。ただ、現状は、100人に5人しか男性では育休をとっていません。伊藤さんのような方が、取得したことの効果を仕事面、家庭面ともに伝えていっていくことが男性の育休促進に影響していくことでしょう。
男性で育児休暇を取得しようとしている方へ
斎藤「今、家事育児で悩んでいることはありますか?」
伊藤さん「う~~ん、あまりないんですよね。強いて言えば、子供の寝つきが悪いことくらいでしょうか。少し前までは、1時間くらい抱っこしないと寝てくれなかったんですが、最近は、それもなくなってきたので、それほど悩んでいる訳でも。。。。」
斎藤「いいですね。じゃ、今のパパライフの満足度は何点でしょうか?」
伊藤さん「そうですね。。。。100点って言ってもいいかな」
斎藤「すごいですね。じゃ、そんな100点のパパライフを送っている伊藤さんから、これから男性で育児休業を取ろうとしている方へのメッセージをお願いします」
伊藤さん「そんな、なんかおこがましいなぁ。普通の感覚で休んじゃっただけなんで。でも、初産で、共働きで両親のサポートが難しい方には、ぜひ、おススメします。きっと、産後クライシスに陥ることはないと思います。そして、男性の育児休業というのが、もっと当たり前という世の中になればいいなと思います」
とっても自然体で謙虚に話をされた伊藤さん。育休を取るということも、それほど強く意識をせずに粛々と取ったという感じのようでした。
きっと、これは、社風による影響が非常に大きいと思います。
髙井さんの「家族の支え、理解がないと従業員が集中して働けない」という言葉がすごく印象的で、それをアクションに移している株式会社テラスカイ。
家族も参加できるパーティー、家族も一緒の社員旅行。このインタビュー中にも、過去実施した「ファミリー・デイ」も、新しく広いオフィスに移転したらぜひ復活させたいなぁという話もされていましたし、テレワーク制度導入に向けての実験も始まっているようです。
このような考え方の会社が増えると、きっと、男性の育休取得者も増えていくんでしょうね。
株式会社テラスカイ
https://www.terrasky.co.jp/
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斎藤 哲

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