みなさんは、一生のうちに何日間仕事をするのか考えたことありますか?
例えば、20歳で仕事を始めて65歳まで働いたと仮定しましょう。そうすると働いている期間は、46年になりますよね。年間の労働日数を240日(20日/月×12か月)とすると、11,040日(46年×240日)となります。
もちろん、有給や転職時期に働かない期間が入ってくることもあると思うので、あくまでも仮のお話ですが。
さて、この1万日以上の労働日数があるとして、この内、何日間の休みをとるとキャリアに影響が出ると感じますか?キャリアップのことを考えると、長期の休みをとるのは難しいと考える方も多いかもしれません。ただ、自分自身だけでなく、家族の将来を考えるために2,3か月程休んでみるということは、これからの人生を設計する上では、むしろ重要なのではないでしょうか。
そして、それを育休を取得するという形で実現させることも。。。
日本の男性の育休取得率は厚生労働省「平成 29年度雇用均等基本調査」によると5.14%。まだまだ、とっても低い数値ですよね。
「育児休暇を取得した男性に聞いてみた!」では、男性で育児休暇を取得した方とその会社を紹介していきます。
どのようにして職場の理解を得たのか?実際に育児休暇中は、どんな生活だったのか?などなど、これから育児休暇を取得しようか検討している男性のためのお役にたてるコンテンツです。
さて、第三回目は、株式会社ヒトカラメディアの奥川さんにお話しをうかがってきました。
設立6年目の株式会社ヒトカラメディアは、オフィス移転をサポートしている企業ですが、『「働く場」と「働き方」からいきいきとした組織と個人を増やす』というビジョンを掲げられています。そこで、マーケティングをしている奥川さんに、育児休暇を取得したタイミングや期間から聞いてみました。
目次
男性も育児休暇をとらなきゃまわらない
斎藤「今、お子さんは何か月になりますか?」
奥川さん「昨年の12月21日が誕生日なので、4か月ですね」
斎藤「そのくらいですと、少しずつ動きも出てきてかわいくてしょうがないでしょうね。育休を取得したのは、どのくらいのタイミングになりますか?」
奥川さん「妻が病院から退院するタイミングから特別休暇をとって、そのまま約8週間育休をとりました」
斎藤「夫婦の力だけで赤ちゃんを見なければいけないというタイミングで取得されたんですね。育休を取ろうと思った理由は何ですか?」
奥川さん「それは、休まないとまわらないと思ったからですね。妻の両親もまだ働いているので、サポートも限定的になると思ってました。だから、自分が休まないとまわらないかな、と思って。
あと、産後の新生児育児は、わからないことだらけだと思うので、そこは夫婦ふたりで乗り切りたいと思ってましたね」
両親のサポートが難しい状況の男性は、しっかりと奥さんをサポートしようという思いから育休を取ろうという意識が働くようですね。
会社初!の育児休業取得者
斎藤「最初に、育休を取得することを伝えたときの上司の方の反応はいかがでしたか?」
奥川さん「実は、うちの会社は、僕が育休取得の第一号だったんですよ。女性も含めて!」
斎藤「えっ、女性も含めて初めてなんですか?」
奥川さん「そうなんです。うちの会社は子供のいる社員は多いんですが、みんな子供が生まれてから中途で入ってきて。また、うちの経営陣はまだ子供がいないので、経営陣に育休を取りたい旨を伝えたときは、子供が生まれた後の生活をイメージしてもらえるよう工夫しました」
斎藤「それは、大変でしたでしょうね」
奥川さん「そうですね。でも、このタイミングで、しっかりと社内ルールを作ろうという話になりました。育休を取得しない男性メンバーにとっても、柔軟な働き方を助長する制度にしようと」
斎藤「そうですか。じゃ、結構、育休には詳しくなったんじゃないですか?」
奥川さん「そうですね。色々と調べましたよ」
斎藤「それは、すごい!!」
ここで、同席されていた広報の會田さんに、育休を取得するときのフローを見せてもらいました。出産日や育休取得するかどうかの判断をくだすタイミングや、特別休暇の設定、臨時就業を行う際のルールなどを明確にしていました。
働くことと暮らすことのバランスを自ら考え、それを会社に提案して実現に向けて動くことができる人って、そうはいないですよね。それを許容できる会社も素晴らしいと思います。
子育て相談はSlack(スラック)で
ミーティングスペースにはゲームも。年に数回開催されるファミリーデイには、子供たちが集まるんでしょうね
奥さんからも育休を取得することに賛同された奥川さん。取得する上で心配だったことはなかったのでしょうか?
斎藤「育休を取得する上で心配だったことはありましたか?」
奥川さん「まずは、長く休むことが仕事にどう影響するか、心配でしたね。仕事にすぐ復帰できるかどうか。また、収入面での不安もありましたね。ただ、そこは結果、臨時就業を実施することで何とかカバーすることができました」
斎藤「臨時就業とは、どういう制度なのでしょうか?」
奥川さん「育休取得中であっても、一時的に属人的な理由で業務をしてもいいという仕組みで、弊社では、上長と相談しながら、僕しか対応ができなさそうな業務を月13%相当内で稼働してもいいと定めました。
このような制度も色々と情報収集して経営陣に提案しました。結果として、これから多くの社員が使えるよう色んな選択肢を持つ制度にすることができたと思ってます」
斎藤「すごいですね。制度などのハード面は、自ら作り上げていったようですが、育児そのものに対する不安、心配事はありませんでしたか?」
奥川さん「実は、社内ではコミュニケーションツールに、Slackを使っていて、その中に「パパママチャンネル」というものがあり、そこで情報共有はしていました」
斎藤「身近で働く人との情報って、ネットで探し当てるコンテンツよりもインタラクティブ性があって、とっても有益なんですよね」
社内情報のためのツールにSlackを使っており、その中に子育て中の12人の社員が参加する「パパママチャンネル」があるそうです。パパも5人が参加しているとか。
そこで、先輩パパママに質問をしていて、子育てに対する情報も事前にインプットできていたようです。
妻はリーダー、自分はフォロワー
斎藤「では、育休中の生活について教えてもらえますか?」
奥川さん「家事は何でもやっていましたよ。掃除や食器洗いはもともと僕が担当していたので引き続き。子育てに関しても、沐浴は僕の役目でしたね。完全母乳で育てていたので、授乳以外は一通りやりました。夜泣きの時のおむつ替えや抱っこなども眠い目をこすりながらやってました。」
斎藤「男性の場合、苦手な家事なんかがあったりするものですが、何でもできるんですね。では、奥さんと接する上で気をつけていたことはありますか?」
奥川さん「以前、とある先輩パパにイベントで聞いたのですが、妻をリーダーと思うようにしていました(笑)
斎藤「おー、なるほど(笑)」
奥川さん「女性はホルモンバランスの乱れがあって、精神的にも非常に不安定になる時期なので、そこに影響が出ないように気を遣っていましたね。
リーダーである妻の意見を尊重して、自分はフォロワーのような感覚で指示をあおぐようにしていました」
「妻の意見を尊重」「フォロワーのような感覚」というスタンスをとれたのも、きっと、奥さんの精神的な変化を理解し、事前に情報収集ができていたからなのでしょう。きっと、充実した育休をとることができたんではないですかね?
パパライフの満足度は
斎藤「さて、ここまで聞いていると、家事育児もこなし、事前の情報収集もバッチリだったようですが、現在、パパとしての生活充実度は100点満点で何点くらいでしょうか?」
奥川さん「う~~~~ん、80点くらいですかね」
斎藤「残りの20点はどうすると埋められそうですか?」
奥川さん「どうすると、というか、まだまだ、やれることはあると思うので、ちょっと余白を残しておきました」
これから、奥様が復職される予定だという奥川さん。きっと、共働きになることで、また新たな課題なども出てくると思いますが、この前向きなスタンスと情報収集力があれば、きっと乗り切ることができるでしょうね。
育休期間は生涯就業時間の約1パーセント
斎藤「育休を取得し終わってから、そろそろ2か月が経とうとしていますが、取って良かったと思うことはどんなことですか?」
奥川さん「家族と向き合う時間がとれたことは大きいですね。そして、今後、何をやっていきたいのかの棚卸ができました。あと、育休を取ったことは、パパ同士の会話のネタになるのでいいですね(笑)」
斎藤「いちど、止まって、今後やりたいことの棚卸ができたっていうのはいいですね。仕事面でメリットと感じるようなことはありますか?」
奥川さん「時間の使い方を意識するようになったので、自分でやるべき仕事と、他のメンバーにお願いしてもいい仕事を明確にするようになりましたね。あと、しばらくコミュニケーションがとれない赤ちゃんと一緒にいたので、それに比べると仕事上のコミュニケーションは楽だなと思うようになりましたね」
仕事も育児と忙しくなって、自分の時間がなくなってくるのが、子育て期。
だからこそ、育休をとって仕事面も生活面もやりたいこと、自分自身がやるべきことの棚卸をするのって大切ですよね。「いちど、とまる」時間が、この時期にあってもいいのではないでしょうか。
斎藤「では、最後に、これから育休をとろうかと考えている男性へのメッセージをいただけますか?」
奥川さん「育休の時間って、生涯で働く時間の1%にも満たないと思います。
冒頭で、生涯労働日数が1万日以上になると書きましたが、3か月育休を取得したとしても約60日。全然、1%にも届かないですよね。この時間を、これから家族を作るための投資の時間だと言っていた奥川さんの考え方って素晴らしいと思いました。
株式会社ヒトカラメディア
http://hitokara.co.jp/
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斎藤 哲

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