東急田園都市線用賀駅から徒歩15分。緑がいっぱいの馬事公苑の目の前に託児サービス付きコワーキングスペース「マフィス馬事公苑」はあります。
駅から少し歩くだけあって、とても静かで、時折、窓から馬事公苑の馬を見ることができる環境の中、子どもを預けながら仕事に打ち込めるスペースがあるんです。これからの時代になくてはならないサービスを展開している代表の高田麻衣子さんに、色々とお話しを伺ってきました。
マフィスを創るまでの道のり
元々、上場不動産会社で管理職をしていた高田さん。小学2年生と5歳のお子さんがいる2児のママで「自分自身の人生のソリューション」だったと語り始めてくれました。
考えるきっかけとなったのは、東日本大震災でした。震災当日は3時間かけて必死に歩いて子どもたちを迎えにいきましたが、それだけでなく、その後も余震の脅威やゲリラ豪雨で帰宅難民になるなど、子ども達と離れて仕事をしていることの不自由さをひしひしと感じるようになりました。不安に思っている子どもたちのすぐそばにいて、できるだけ早く迎えにいってあげるような距離感で仕事をしたいと考えるようになったんです。
当時の働き方って、同僚や部下に後ろめたい気持ちを持ちながら定時で会社を飛び出しても、ふたりをピックアップして買物なんかをして、帰ってくると19時半くらい。できるだけ効率的に生活するために週末を利用しても、「これだけ大変ってどういうこと!」「こんな生活っていつまで続くんだろう?」
もっと、どこか効率化しなければいけないと思う反面、無駄をそぎ落としきった生活は心がすさむ。省いていい無駄って何だろうと考えたとき、満員電車での通勤がそれだなと思いました。この、ストレス以外の何も生み出さない活動をしなくて済む生活を手に入れたいと思ったとき、ふとひらめいたんです。
限りなく家から近い場所に、自分の執務スペースがあって、しかも、その隣に保育園があったら移動がすごく楽で、生活全体が効率化されるだろうなあって思ったんです
東日本大震災をきっかけに働き方を考え直した人には数多くあってきましたが、高田さんもそうだったようです。ただ、彼女の場合は、自分だけでなく、場所を造って必要な人に提供しようと考えたこと。
でも、実現に向けて考え始めると結構難しくて、利用者、物件、お金の問題をグルグル考えてしまい、なかなか着地点を見いだせませんでした。
会社に所属しながら、リモートで仕事できる人って、いったいどういう仕事をしている人だろう?
切り出し可能な業務は一般的に低単価の汎用的な業務が多く、そういう仕事をする人に企業はコストを払うだろうか?あるいは本人はお金を払えるだろうか?
利便性の高い駅前はごちゃごちゃしているし、居酒屋の看板が目に入るような環境では出したくない。子育てのために再開発された街だと賃料が高すぎて合わない。あと、そもそもオーナーさんがシェアオフィスや保育施設をいやがることもホントに多かったんです。
でも、色々考えたけど、とにかく理屈はあっているはずだからテスト的にやってみよう!
やらないで後悔したり、他人に実現されるのはもっと後悔するので(笑
色んな苦労があったと思うのですが、常に笑顔で話してくれました。そんな思いの中、たまたま、この馬事公苑の物件を見つけたそうです。
駅近が難しいと思って候補を広げたら、この物件に出会いました。元々、絵本美術館だったそうで、一度、保育施設にもなっていたんです。駅からは遠いんだけど、賃料も手の届く範囲だったし、ふと窓の外を見たら、緑が一面に広がっていて、馬が走ってるんですよ!その瞬間、「こんなところで仕事したい!!」「子どもたちに、木々や空など自然の色が目に入る場所で生活をしてもらいたい!!」と思ったんです。
確かに駅からは遠いので、コワーキングスペースとしては、集客が難しいのではと思わせるのですが、子どものことを考えると環境も大事。2児のママという目線から物件を決めたことが共感を呼ぶことにつながったのではないでしょうか。
疲れたママがいきいきとなっていく
マフィスって、とても特別な空間だと思うんです。子どもがいて、保育士の先生がいて、同じような仲間がいて、それぞれの人たちがすごく密接な距離感で過ごせている。
小さな子どもができると、〇〇ちゃんのママというつながりが多くなって、アイデンティティを後ろにひっこめながら、つながる関係性が多くなると思うんです。でも、ここでは、一人の大人の女性として、仕事人として、その人自身の魅力で仲良くなる仲間ができる。しかも、子育てステージが同じで、ワークスタイルも似ている。そういう近しい価値観でつながる場として喜ばれていると思います。
実際に、子育てと仕事の両立で疲れたような感じで来られた方でも、1,2ヶ月たつと表情が変わって、キレイになって、素敵な笑顔が見られるようになるんですよ。これって、スゴイと思いませんか?
実際に何人もの会員様から「マフィスを利用するようになり自分の時間を持つことで、家に帰ったあともゆとりを持って過ごすことができるので、子どもと過ごす時間の密度が濃くなって、生活の質があがりました」というメッセージをもらいます
ひとりの人して認められ、同じような境遇の仲間と共感し合える。これは、子育てもほぼひとりでこなし、仕事もひとりで踏ん張っているママにとっては最高の価値ですよね。ひとりで抱えこんでしまう重圧を分かち合える仲間ができることが「マフィス」の最大の特徴の一つなのかもしれません。
マフィスの会員さんの中には、19時くらいには絵本を読んで子どもたちを寝かせてしまう方もたくさんいらっしゃいます。ここから徒歩10~15分くらいの方が多いので、16時過ぎくらいに仕事を終えて、ゆっくりお散歩しながら帰って、コミュニケーションをとってもそんな時間に寝かせることができる。
そんなお子様はとても早起きなので、朝の時間も充実しています。子どもが5時とか6時に起きて、朝の時間にお絵かきの時間をとっている方もいらっしゃいますよ。
子どもたちが自由に使える時間を見守ってあげることができ、上手にできないことができるようになっていくステージを間近で見ていられる。
自宅と執務スペースと託児を近くにすることで、こんなに時間の余裕がうまれるんです。
あと、この「マフィス」の特徴ですけど、働きながら子どもたちの声が聞こえるんです。泣き声も笑い声も話し声も聞こえてくるので、子どもの成長を感じながら仕事ができるんです。お子様の初めてに立ち会うことも大事。ご要望があれば、お子様が初めて立ちそうな瞬間に声をかけることもできるんですよ
仕事と子育てを両立させようとすると、どうしても時間による制約が大きな問題になってきます。「マフィス」は、その問題を解決することで、ママにも子どもにも豊かな時間を提供しています。職場と保育を自宅近くで併設することで、子育ての質を高めることができる「マフィス」。後編では、育児をするうえでパパに期待することや、今後の展開について伺いました。
疲れたママをいきいきとさせてくれる託児サービス付きコワーキングスペース「マフィス馬事公苑」(後編)
「マフィス馬事公苑」https://www.maffice.com/
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斎藤 哲
